~100年後も続く
観光と自治~
リジェネラティブ
ツーリズム
創出事業
一般社団法人E’more秋名
鹿児島県龍郷町
プロジェクト概要
~100年後も続く観光と自治~
リジェネラティブツーリズム創出事業
- 団体名
- 一般社団法人
E’more秋名 - 実施地域
- 鹿児島県龍郷町
事業概要
自然共生サイト「奄美大島真米の里 秋名・幾里・大勝」の一部である田園地帯にて、地域住民と来訪者による共創のあるべき姿とプログラムの検証、ストーリーやブランディング戦略等を通し、観光客が来るほど自然も暮らしも豊かになる地域の実現を目指す。
主な実施内容
- 地域住民への「気候変動問題」と、「秋名地区が有する資源価値、地域内外の共創による地域課題解決の可能性」の共有
- 地域資源とフィールドを活用した共創プログラムの住民参加型による検証
- 交流人口から関係人口化へ誘導する観光事業のストーリーとブランディングの戦略具体化
プロジェクトへの想い
従来の奄美大島のイメージにある南国ビーチリゾートという見せ方とは異なる再生型観光に挑戦します。
龍郷町では山から海までの流域が近接し、清流が流れる里山や多様な生態系と共存した文化的景観が残っています。明治以前の日本にあった自然の摂理を軸にする「旧暦の暮らし」が残る稀有なエリアでもあります。本事業では観光客は山から海に渡る自然の営み体験や保全活動への参加を通じて当事者性を育み、地域の人々は観光客との関わり合いによって「奄美の価値」を再認識し、その先に、奇跡の星である地球の豊かさをみんなで気づくきっかけになることを期待します。
九州地方環境事務所
沖縄奄美自然環境事務所 小田桐 睦
奄美大島で数少ない水田が残る秋名集落。
水田環境を中心とした里地里山には多くの動植物が生息しており奄美大島の「自然共生サイト」登録地の1つです。奄美大島の伝統文化・地域行事と密接にかかわっている稲作を地域住民が来訪者と共に次世代まで繋げようとするモデルづくりは、奄美大島のみならず、環境と共存した自然と文化のくらしを保全したいと考える地域の先駆けになると期待しています。
プロジェクト報告
中間報告(2025年12月12日)
実施団体よりこれまでの進捗状況と今後の展開について報告いただき、
伴走する有識者・専門家からも所見をいただきました。
本モデル事業では、有識者・専門家・環境省・事務局がひとつのチームとなり、各プロジェクトの推進をサポートしています。有識者からは、事業全体を見据え、保全と活用の好循環の形成に向けて中長期的な視点でのアドバイスを行っています。そして、専門家からは、有識者からのこのようなアドバイスを踏まえ、より地域の実情を踏まえた実践的なアドバイスを行っています。
▼有識者および専門家からのコメント
現代福祉学部・大学院人間社会研究科 准教授 野田 岳仁
「観光と自治」というユニークなテーマを評価しています。厳しい環境下で良質な米を作り続けるために行われてきた神事「アラセツ」。農業人口が減れば本来は担い手が途絶えかねないところですが、この営みが今も続くのは、地域に根づく「結の精神」によって支えられてきたからです。こうした精神性や暮らしを観光資源として生かすには、「見物する/される」関係を越え、観光客が地域の小さな実践に参加できる仕組みの構築が重要です。観光客の関与や評価は住民の誇りと担い手意識を支えます。観光が地域の「自治」を補強するような仕組みづくりを支援していきたいと考えています。
国立公園利用企画CAN 折原 直廣
龍郷町の秋名と呼ばれる集落には、その土地に根付き受け継がれてきた産業があり、同時に文化、信仰という背景も欠かすことができません。これらは奄美大島独特の気候と、琉球と九州の文化を見事に調和させた貴重な資源です。それらを伝える術や機会を充実させ、また来訪者が集落での生活文化の一面を感じられる仕組みのアイデア出しなどをサポートしています。その過程において、そこに住む住人の想いを汲みとり、関係人口との整理、届けたい人に届ける仕組みづくりを探りながら、地域との接点を深めていく事業に成長させる伴走を行っています。
取組紹介(2026年2月16日)
「良好な環境」の保全と活用の好循環達成に向け、
今年度行った様々な取組・活動の一部をご紹介します。
8月30日秋名地区で実施した生物調査フィールドワークの様子
自然共生サイトにおける保全活動の観光コンテンツとしての可能性検証と、リジェネラティブツーリズムのプログラムイメージを地域住民とも共有する機会として、生物調査を実施し、地域内外から28名(うち、秋名地区住民20名)参加頂きました。
8月31日秋名地区で開催した生物多様性を学ぶワークショップの様子
リジェネラティブツーリズムを進めるにあたって基礎となる生物多様性への理解を深める機会として、住民向けワークショップを開催しました。地域内外から29名(うち、秋名地区住民20名)が参加し、開催後には地域参加者から「生物多様性」というキーワードが出てくるようになりました。
11月17日秋名地区で開催したビジョンマップ作成に向け、これから残したい地域資源に関するヒアリング調査
100年後も続く観光と自治に向けた、地域内外の目線合わせとして、守りたい/取り戻したい暮らしと良好な環境のビジョンマップ制作に向け、地域住民へのヒアリングを実施しました。ヒアリングには、80代以上の秋名住民(8名)、現役世代(10名)が参加し、現役世代からは、地域資源調査の追加実施要望も出てくるなど、地域資源を学ぶ機運が盛り上がりつつあります。
12月24日秋名地区で開催した協働プログラム(排水路の石積み)を検証するフィールドワークの様子
リジェネラティブツーリズムのコンテンツ制作にあたりプログラムイメージを地域関係者に共有する機会として、島内外から25名(うち、秋名:7名、島外:7名)に参加頂きました。実施後は、地域からは、地域内外の参加者同士が楽しそうに交流していたことや、景観が改善されたことに対して共感の声が聞こえてきました。
実施団体と共に、現場で奮闘されている方から、本事業での想いと
未来への期待について、コメントを頂きました。
一般社団法人
LocalCoop龍郷 西田 誉
秋名地区の自然と文化を次世代へ繋ぐため、地域住民有志の立ち上げメンバーから参加し、今でも総会に参加しています。本業の土木技術を活かした田袋の再生など、自然と調和した環境づくりに取り組んでいます。地域のかつての暮らしを知る先輩たちが、年々亡くなっていることに課題を感じていましたが、本事業を通して、昔の暮らしぶり含め、豊かな環境を学びなおし、自分を含め関心のある人たちが自ら関わりを持つようになってくれていると感じます。共同作業を通じて、参加者同士が繋がり、楽しみながら継承、共創できる場を目指していきます。