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早わかり「再資源化事業等高度化法」

法律の背景と目的 / 制度の概要

これまで国内における廃棄物の処理は「廃棄物処理法」等によって
廃棄物の適正処理に力点を置いてきました。
現在わたしたちは、地球温暖化、資源枯渇や輸出入制限への懸念、人口減少等の課題を抱えており、
廃棄物処理においても再生材の質と量の確保を進める総合的な対応が求められています。

あたらしく「再資源化事業等高度化法」の制定が必要になった理由や
この法律に関するアウトラインについて解説します。

法律制定の背景

あたらしく「再資源化事業等高度化法」の制定が必要になった背景への理解を深めます。
日本の廃棄物処理において、社会情勢の変化により「循環経済への移行」と「脱炭素化」への対応が求められています。

「循環経済への移行」による産業競争力の強化

  • これまで日本は資源を輸入することに依存してきましたが、供給源が特定国に集中し、資源を安価かつ安定的に入手することが困難になり、経済安全保障が不安定になってきています。
  • 世界では資源の需給逼迫・枯渇懸念に対し、資源の確保や再生材の利用を求める動きが拡大し、企業の取組や法整備も進んでいます。
  • 再生材の活用がサプライチェーンや製造業の産業競争力に直結する要因となっており、日本も資源循環の発展が不可欠になってきています。

資源価格の推移

貴金属、化石燃料、ベースメタルの資源価格推移グラフ。

2000年代は2008年をピークにそれぞれ、2002年1月時点比嘉kで3倍から5倍程度に上昇、その後一時的に下降しますが2010年から2013年まで上昇に反転。貴金属は2013年以降に、ベースメタル、化石燃料は、2014年から加工局面へ。2016年以降はまた反転し価格上昇傾向になりました。その後、化石燃料は2020年に一時的な下落も見られたが、2022年には貴金属、化石燃料は2000年時点比較で、5.5倍、ベースメタルなどは3.5倍になりました。

2000年1月を100とした指数で、ベースメタル、貴金属、化石燃料の価格は 2000年代を通じて上昇と下落を繰り返しながら、2022年代にかけて それぞれ約3.5倍(ベースメタル)、 約5.5倍(貴金属・化石燃料)の水準に達しています。

【出典】IMF「Primary Commodity Prices」

日本の資源輸入額の推移

日本に資源輸入額比較グラフ。石油、石炭、LNG等は2001年比較で2023年は3.5倍に、ナフサ、鉱石、金属製品などは3.3倍に上昇しました。

日本の資源輸入額は、2001年には 石油・石炭・LNG等が約7.9兆円、 ナフサ・鉱石・金属製品等が約3.5兆円で、 合計は約11.4兆円でした。

2023年には、石油・石炭・LNG等が約26兆円(約3.3倍)、 ナフサ・鉱石・金属製品等が約12.4兆円(約3.5倍)となり、 合計で約38.4兆円まで増加しています。

【出典】財務省「貿易統計」

「脱炭素化」への対応

  • 日本は温室効果ガス排出量において2050年ネット・ゼロの実現を目標に社会全体で取り組んでいます。
  • 資源循環に関わる分野においても、日本の排出量36%を占める分野にて削減に貢献できる余地があるとされています。
  • 資源循環においては、製品製造における再生材の利用により、削減ポテンシャルが高いデータも示されており、脱炭素化への推進が求められています。

日本の温室効果ガス排出量のうち、
資源循環が貢献できる余地がある部門

日本の温室効果ガス全排出量のうち、資源循環による削減貢献の余地がある部門の排出量は約36%。代替フロンガス、一酸化炭素、メタン、エネルギー起源、非エネルギー起源のニ酸化炭素などで約36%は温室効果ガス排出削減に貢献できる。

2019年度に貢献できる余地がある割合は温室効果ガス種類別にはエネルギー起源のニ酸化炭素の35%、非エネルギー起源のニ酸化炭素の96%、メタン・一酸化二窒素・代替フロン等4ガスの16%を占めた。部門別割合では鉄鋼業のエネルギー起源のニ酸化炭素が11%で最も大きかった。貢献の余地が乏しい部門の割合としては事業用発電部門が33%で最も大きい。

課題
循環経済への移行による産業競争力の強化や脱炭素化の対応など社会的課題へ取り組む必要があります。
基本的方向性
国民・消費者の協力を得て、産官学が連携して、質・量の両面での資源循環の高度化を促進し、脱炭素や産業競争力の強化に加え地方の活性化につなげます。

法律の概要

どのような考えで新しい制度がつくられたのか、目的、制度について理解を深めます。

〈 目的 〉

再資源化事業等高度化法は、効率的な再資源化の実施、再資源化の生産性の向上等による温室効果ガスの排出の量の削減の効果が高い資源循環の促進を図るため、再資源化のための廃棄物の収集、運搬又は処分の事業の過程の高度化を促進するための措置等を講ずることにより、環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。
代従来は適正な廃棄物処理に重きを置いていましたが、法律施行後は再生材の質と量の確保に注力します。結果、温室効果ガスの排出と、焼却最終処分量、プライマリー材の必要量を減らすことを目指します。

〈 法律の概要 〉

基本方針の策定・公表

再資源化事業等の高度化を促進するため、国として基本的な方向性を示し、一体的に取組を進めていく必要があることから、環境大臣は基本方針を策定し公表します。
 

再資源化の促進

再資源化事業等の高度化の促進に関する判断基準を策定し公表します。
特に処分量の多い産業廃棄物処分業者の再資源化の実施状況を報告・公表する制度を創設します。
 

再資源化事業等の高度化の促進

再資源化事業等の高度化に関して国が一括して認定を行う制度を創設し、生活環境の保全に支障がないよう措置を講じさせた上で、廃棄物処理法の廃棄物処分業の許可等の各種許可の手続の特例を設けます。

報告・公表制度再資源化の促進

新たに「特定産業廃棄物処分業者」という区分を設け、再資源化の状況を国が把握、公表します。
※特定産業廃棄物処分業者とは、当該年度の前年度において処分(再生を含み、埋立処分及び海洋投入処分を除く。)を行った産業廃棄物(特管産廃を除く。)の数量が10,000トン以上又は廃プラスチック類の数量が1,500トン以上である産業廃棄物処分業者を指します。
  1. 特定産業廃棄物処分業者は、毎年度、産業廃棄物の種類及び処分の方法の区分ごとに、その処分を行った数量及びその再資源化を実施した数量を国に報告することが義務づけられました。
  2. 国は、報告された事項を公表します。
  3. 事業者、排出者、国民・消費者は再資源化を積極的に推進している廃棄物処分業者を確認できます。

認定制度再資源化事業等の高度化の促進

許可手続きの特例
再資源化事業等の高度化事業に対して国が認定を行い、廃棄物処理法の各種手続き等に特例を設けた制度です。
生活環境の保全に支障がないよう措置を講じさせた上で許可手続の特例が設けられます。
廃棄物処理法と再資源化事業等高度化法(類型1・類型2)の基準比較表
比較項目 廃掃物処理法 再資源化事業等高度化法
類型1 高度再資源化事業 類型2 高度分離・回収事業
事業内容の基準 - 高度な再資源化事業に係る
1.再生材の安定供給、
2.トレーサビリティの確保
等の独自基準
高度な分離・回収技術に係る
再資源化の生産性の向上等の独自基準
廃棄物処理施設
技術上の基準
廃棄物処理施設が満たすべき構造等の基準 廃棄物処理法と同等
+高度な再資源化に資する構造
廃棄物処理法と同等
+高度な分離・回収に資する構造
廃棄物処理施設
維持管理基準
廃棄物処理施設が満たすべき維持管理に係る基準 廃棄物処理法を適用 廃棄物処理法を適用
申請者の基準 欠格事由に該当しないこと 廃棄物処理法と同等 廃棄物処理法と同等
廃棄物処理施設及び
申請者の能力の基準
事業を的確に、継続して行うに足りるものとして定める基準 廃棄物処理法と同等
+(廃棄物処理施設を設置する場合)
周辺地域との調和の確保
廃棄物処理法と同等
+(廃棄物処理施設を設置する場合)
周辺地域との調和の確保
廃棄物の処理基準 廃棄物処理(収集運搬、処分(それぞれ保管含む))において満たすべきの基準 一廃:廃棄物処理法を適用
産廃:廃棄物処理法と同等
+1.事業内容の証明方法、2.廃棄物の保管方法等の独自基準
一廃:廃棄物処理法を適用
産廃:廃棄物処理法と同等
+対象廃棄物ごとの高度な分離・回収技術に特化した独自基準
※ 類型3再資源化工程高度化事業における各基準は廃棄物処理法の規定による。
※ 「認定制度3つの類型」詳細や「認定手続き」等は、上のリンクからご覧ください。

これまでの法律との違い

「再資源化事業等高度化法」は、具体的には、何に重きを置いているのか、これまでの法律とどう違うのでしょうか。

〈 何に重きを置いているか 〉

廃棄物処理法は「適正処理・規制」に重点
再資源化事業等高度化法は「資源循環・促進」に重点
従来の「廃棄物=不要物」という考え方から、「廃棄物=循環させるもの」への転換を促すものです。

〈 他法令の許認可、認定制度とどこが違うか 〉

再資源化事業等高度化法の認定制度では、申請者・対象廃棄物とも幅広く、処理施設許可も不要となります。
法律名 申請者 対象廃棄物 収集運搬業
許可
中間処分業
許可
廃棄物処理
施設許可
再委託
廃棄物処理法 指定無し 一般・産業廃棄物 必要 必要 必要 禁止
廃棄物処理法
広域認定制度
製造・販売事業者等 申請者が製造・
販売した製品
不要 不要 必要 可
再資源化事業等
高度化法
類型1 指定無し 指定無し
(家電4品目除く)
不要 不要 不要 可
類型2 指定無し 指定有り - 不要 不要 禁止
類型3 廃棄物処理施設の設置者 
(設置者が産業廃棄物処分業者である場合には優良産業廃棄物処分業者であること)
指定無し - - 変更許可
とみなす
-
プラスチック
 資源循環法
地方公共団体
製造・販売事業者
排出者・再資源事業者
プラスチック 不要 不要 必要 可
(地公体は禁止)
小型家電リサイクル法 指定無し 使用済
小型電子機器等
不要 不要 必要 可
食品リサイクル法 食品関連事業者 食品廃棄物等 不要
一廃のみ
必要 必要 禁止

各主体の役割 〈国民・消費者 / 事業者 / 廃棄物処分業者〉

国民・消費者の協力を得つつ、社会全体で資源循環を促進します。
わたしたちが、それぞれの立場で「自分ごと」ととらえ取り組むことが期待されています。
  • 国民・消費者

    リサイクルに関する取り組みに加え、より一層の分別や資源回収、資源循環の取り組みの必要性について理解を深めること。

    消費行動において、再生資源利用製品の選択など意識改革や行動変容を努めること。

  • 事業者

    あらかじめ再資源化を想定し、廃棄物となった際の分別や分離を想定した製品開発を行うこと。

    再生資源の利用促進や情報発信を行うこと。

    再資源化実施工程の脱炭素化に資する廃棄物処分業者を選定するよう努めること。

  • 廃棄物処分業者

    循環資源の回収、再資源化率の把握、実施状況の開示、温室効果ガス排出量の削減を行うこと。

    再生資源の量を増加させるための技術向上に取り組むこと。

    さまざまな再資源化工程の合理化・改善・設備導入を行うこと。

〈 廃棄物処分業者に求められていること 〉

質・量の両面での資源循環の高度化を推進するにあたり、制度や支援策が法整備され準備が進められています。
廃棄物処分業者には、制度や支援策を利用しつつ以下の取り組みが期待されています。
廃棄物処分業者に求められている6項目。1、再生材の需要と供給の把握。2、生産性向上の設備導入。3、設備改良運転の効率化。4、目標達成計画。5、人材育成。6、実施状況の公表
  1. 供給先の需要や生産が可能な再生材の規格・量を把握すること。
  2. 可能な範囲で生産性を向上させる技術を有する設備の導入に努めること。
  3. 省エネ型の設備への改良や運転の効率化を図ること。
  4. 再資源化に関する目標を定め、その達成に向けて計画的な取組を進めること。
  5. 人材育成を目的に、従業員の研修や労働環境を改善するための措置を講ずること。
  6. 自ら再資源化の実施状況を公表すること。