【30by30アライアンス】 メールマガジン Vol_118

特集 2026年7月夏号
大学キャンパス・演習林等における自然共生サイト/ネイチャーポジティブに向けた取組ご紹介(2026/7/15)

30by30アライアンス参加者の皆様

みなさま、こんにちは。
全国のキャンパスや演習林、附属農場を舞台に、最先端の「知」と次世代の情熱が融合した、ユニークな保全活動が芽吹いているのをご存知でしょうか。

今回の特集号では、そんな「自然共生サイト/ネイチャーポジティブ」の活動にスポットを当てて、ご応募いただいた個性豊かな7つの取り組みを一挙にご紹介します!
ただ自然を守るだけでなく、科学的エビデンスの活用、未来を切り拓く学生主導の活動、地域産業への社会実装など、それぞれに特色のある多彩な取り組みが集まりました。読み終えたとき、きっと皆様の明日の活動へのヒントが見つかるはずです。ぜひご覧ください。

東京農工大学(農学部) 『東京農工大学府中キャンパスと本町水田』
昭和9年から続く「生きた土壌」が紡ぐ、豊かな生態系と日本酒テロワールの物語

大都会のすぐそばにありながら250種もの在来植物や、貴重な動植物のいのちが今も豊かに息づく、生命力あふれる緑の拠点があります。昭和9年のキャンパス開設時から大切に守られてきた豊かな「土の記憶」とデータに基づくキャンパスの樹木管理という客観的で緻密なエビデンスに基づく徹底した姿勢が、この美しい緑地の存在を支えています。

「東京だからこそ、この豊かな水田を次の世代へ誇りを持って引き継いでいきたい」──

東京都内に残された貴重な水田環境を未来へ繋ぐため、大学、農家、酒蔵が手を取り合う温かくも先進的なプロジェクトが動いています。大学の知見を活かして、地元の伝統ある日本酒を復活させるという、素敵な地域経済の循環も生まれました。 「自然共生サイト」への認定をきっかけに、地域の方に「この水田が生き物にとって大切な場所なんだ」と認識してもらいやすくなり、環境に優しい農業の輪の広がりも生まれているそうです。

(3枚の写真)自然に囲まれたキャンパス、外来植物を抜く生徒たち、田んぼ、動物に餌をあげる人

自然と人が心地よく響き合い、未来を切り拓く現場のリアルな熱気。

その全貌と、先生方の熱い想い・・・全貌はこちらから Read more!

ヒント:大都市の緑を科学する、確かな「データ」と「社会実装力」をパートナーに

  • 樹木スコアシート等の緻密な客観的エビデンスによる、自社ESG経営の根拠強化。

  • 最先端の農林業技術を地域ブランドへ結びつける、共同経済循環ノウハウの獲得。

  • 自発的に汗を流す高い環境意識を持った、次世代を担う優秀な学生との出会い。

龍谷大学(瀬田キャンパス)『龍谷の森』
「ともいき」の心から広がる繋がり ―地域のネイチャーポジティブ実践拠点へ

1994年、新しいグラウンドなどの整備計画の調査中に生息が確認された「オオタカ」との出会い。大学は大きな決断を迫られました。開発を中止し、守り抜かれた「龍谷の森」は、新種のキノコが見つかるほど豊かな生命が息づく場所。ここでは、あえて人の手を入れずに「放置する研究エリア」と、学生たちが手を加える「里山活動エリア」に分けて、自然本来の姿と、人と自然が共生する知恵を次世代へ繋いでいます。

その根底にあるのは、建学の精神でもある仏教の「摂取不捨(せっしゅふしゃ)」の心。誰も孤立した存在ではなく、いのちは大きなつながりの中にあり、すべてのいのちが繋がり合って生きているという優しい眼差しが、この森の歩みを支えています。この森を「ネイチャーポジティブの実証フィールド」として、産官学民の連携はさらに加速していきそうです。

(6枚の写真)広大な森、奥には住宅街、広がる森、カサの中心が赤ピンク色のリュウコクヒメベニタケ、花にとまる蝶々、滝谷の森で自然を観察する学生たち、収穫されたキノコ

「オオタカ」が守った美しい森から広がる、いのちの循環と人間教育の挑戦。

その深いストーリーと現場の熱気・・・続きはこちらから Read more!

ヒント:「ネイチャーポジティブの実証フィールド」を共に創る

  • 大学のフィールドを丸ごと活用した、自然資本評価や生物多様性の可視化に関する共同研究。

  • 自然共生サイトを舞台にした、社会人向けESG教育プログラムや企業研修の受入れ。

  • 大学の知見と優秀な学生を巻き込んだ、持続可能な地域づくりのための「里山保全モデル」共創。

福島大学 『福島大学金谷川キャンパス』
カモシカが覗くキャンパスから。一人の学生の卒論から始まった、自然との共生に向けた取り組み

絶滅危惧種のキンランやオオムラサキがすぐそばで息づく福島大学金谷川キャンパス。2004年に実験棟の建設の際、貴重なカタクリの群生地を知らずに埋め立ててしまうという出来事がありました。その教訓をきっかけに、大学執行部とキャンパスを管理する施設課と生物に関わる研究を行っていた教員が何度も話し合いを重ね、キャンパスの一部を保全地域に指定する枠組みを構築しました。

そして2022年、一つの大きな転換点が訪れます。きっかけは、食農学類の1期生だった、ある学生の卒業論文でした。「これまでに築いてきた自然を守るだけでなく、それを大学全体の価値としてもっと輝かせたい」──。学生のひたむきな努力と、先生が培ってきた専門的な知見が重なり、2025年に「自然共生サイト」認定を達成しました。今では、ここにしかない豊かな自然を大学に関わる全員の「誇り」として、キャンパス全体でネイチャーポジティブを推進する機運が高まっているそうです。大学が培ったノウハウを地域社会へ還元しながら、人と自然、そして地域をつなぐ新たな価値創出に挑戦しています。

(5枚の写真)森の中で自然を観察する子供達と先生、草の中に咲く一輪の水色の花、木にとまる蝶々やカブトムシ、白い花、キャンパスとその周りの広大な森

苦い教訓を未来への糧に変え、一人の学生の熱意が実を結んだストーリー。

その歩みと温かな循環・・・全貌はこちらから Read more!

ヒント:大学と地域のネイチャーポジティブに取り組む「共創パートナーシップ」

  • 大学の広大な敷地管理を支えることで、緑地管理手法や自然共生サイト申請書作成の助言が得られます。

  • 高い環境意識を持って取り組む大学、自発的に活動する次世代を担う優秀な学生との出会い。

東京大学 『東京大学千葉演習林』
百年の森が紡ぐ、生物多様性と共生のかたち

1894年11月に日本初の大学演習林として創設され、約2,200ヘクタールという圧倒的なスケールを誇る東京大学千葉演習林。大学の演習林、そして隣接する清澄寺の社寺林であったという特別な砦であったからこそ、百年以上の時を超えて、この地域固有の原生的な自然が残されてきたのです。昆虫の新種2種や、千葉県初記録となる昆虫がなんと280種も確認されていることに驚かされます。

一方で、林道から遠い奥地では、搬出費用の問題から、間伐した木を山へ残す「切り捨て間伐」を選ばざるを得ず、それが『ニホンキバチ』の爆発的な発生を招いてしまう課題を抱えています。

歴史あるこの森の樹齢100年以上にもなる貴重な木材が、有効に活用されるような新たな繋がりの創出により、森の手入れが更に進められるような好循環が生まれることを切に願っています。

(5枚の写真)古い花を記録した資料、方眼罫のついたカッターマットの前に置かれた花、草を手に取る命綱をつけた人、木を調査をする2人、大きな網を広げて調査作業をする人

大学の演習林、特別な砦が守った貴重な自然、それを次世代へとバトンを繋ぐ挑戦。

その圧倒的なスケールと、これからの未来を創る共創・・・全貌はこちらから Read more!

ヒント:アップサイクルで新たな価値創出を推進するパートナーに

  • 間伐材の搬出支援と、ストーリー性のある高付加価値な木材製品の創出。

  • 大学の専門知見と長期データを有する演習林を活かした、人工林からの遷移推進の共同研究。

まだまだ続く!

「栃木県立那須拓陽高等学校」「学校法人植草学園 植草学園大学」「学校法人神戸女学院」「特定非営利活動法人あそびとまなび研究所」の個性豊かな4つの事例が続きます・・・全貌はこちらから Read more!

栃木県立那須拓陽高等学校:ミヤコタナゴ野生復帰への挑戦

天然記念物「ミヤコタナゴ」の野生復帰、そして、地域の生物多様性の保全を目指し、那須拓陽高校の生徒たちは挑戦を続けています。ネイチャーポジティブ那須野が原アライアンス(NPNA)の協力により、産業技術総合研究所、国立環境研究所の支援を受けながら、学校農場の「自然共生サイト」への登録を目指しています。「那須地区にタナゴが住める環境を増やし、いつかミヤコタナゴを野生復帰させたい」と環境に興味を持つ生徒たちが、熱心に取り組んでいます。

(5枚の写真)野球のユニフォームを着て水田で作業する学生、はしごで木の上に登り作業する学生、指導員の話を聞く生徒たち、美しい森

ヒント:次世代とともに創る、未来につながるパートナーシップ

  • 瑞々しい感性で動く学生への技術・資金支援を通じた、地域を巻き込むネイチャーポジティブの実現。

学校法人植草学園 植草学園大学 『植草共生の森』

美しい里地里山の自然環境が維持されている「植草共生の森」。2023年に「自然共生サイト」に認定されました。大学入学時のオリエンテーションや各授業の中で豊かな自然体験を行うことで、「自然と共に生きる」価値観が、次世代へと伝えられていく基盤を創っています。また、森の動植物や駆除のために捕獲しているススメバチなどを活用したオリジナルグッズ「森のガチャ」を販売し、その資金を森の整備費用として活用するユニークな取り組みも行っています。

(3枚の写真)森入り口の写真、植草共生の森の地図、森を探索する子供達

学校法人神戸女学院 『神戸女学院 愛神愛隣の森』

創立150年の歴史を持つ神戸女学院。重要文化財・ヴォーリズ建築に隣接する「愛神愛隣の森」は、都市部にありながら希少種を含む多様な生物が生息する貴重な緑地です。2025年に「自然共生サイト」に認定されました。生徒・学生・教職員が協働してビオトープ管理や生物相調査を行っており、植物・昆虫・鳥類・哺乳類に関する学術的な知見も蓄積されています。さらに、タケノコ掘り・梅シロップ作りや学生デザインのオリジナル野帳の販売など、文化的なサービスを生み出す取り組みも展開されるなど歴史ある美しい環境で「五感で楽しむ豊かな日常」と環境保全を両立しています。

(2枚の写真)広大な森に囲まれたキャンパスを上空から捉えた写真、森の中で採取したものをカゴに集め、ノートに記録をとる三人組

特定非営利活動法人あそびとまなび研究所:キャンパスで育む「みちくさ」の輪

北九州市立大学ひびきのキャンパスのオープンなデザインを活かし、10年以上にわたり地域の子どもたちと「みちくささんぽ」を継続しています。毎月、隣接する保育園の子どもたちと、のんびり活動しており、2015年から植物調査も実施しています。

人と自然の接点を創り出すことで、子どもたちの豊かな育ちを支えること、そして、活動に協力する学生たちに、身近な自然や地域との関わりに関心を持ってもらうことを目指して活動を続けています。

(4枚の写真)公園の机に取った花や草を並べたり、円になって先生の話を聞く子どもたち

ヒント:大学と地域のネイチャーポジティブに取り組む「共創パートナーシップ」

  • 大学キャンパスでの活動を通じた、生物多様性への直接貢献と地域との新たなつながり。

  • 大学・学生との対話やフィールドでの安らぎがもたらす、日常業務では得がたい気づきと視点。


30by30にご関心のある方々に対するアライアンス参加の呼びかけにご協力ください!

30by30に関連することで、30by30アライアンス参加者の皆様あてに周知したいことがありましたら、事務局までお寄せください。

確認の上、メルマガに掲載させていただきます。

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生物多様性のための30by30アライアンス事務局

(環境省 自然環境局 自然環境計画課)

https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/