【30by30アライアンス】 メールマガジン Vol_118

特集 2026年7月夏号 番外編2
龍谷大学インタビュー完全版(2026/7/15)

龍谷大学(瀬田キャンパス)『龍谷の森』
「ともいき」の心から広がる繋がり―地域のネイチャーポジティブ実践拠点へ

グラウンド計画を止めたオオタカ。そこから始まった「反転」の物語

関西の私立大学として初めて「自然共生サイト」に認定された、広大な「龍谷の森」。実はこの森には、大きな時代の転換点となったドラマがありました。

遡ること1994年、この場所には大学の新しいグラウンドなどを整備する計画が進んでいました。しかし、調査の中で「オオタカ」の生息が確認されます。大学は大きな決断を迫られました。そして選んだのは、開発の中止。オオタカの生息を単なる「開発リスク」として終わらせるのではなく、30年の月日を経て、そこから大学初のネイチャーポジティブ宣言、自然共生サイト認定へと、その価値を「強み」へ反転させていったのです。

その根底にあるのは、建学の精神でもある仏教の「摂取不捨(せっしゅふしゃ)」の心。誰も孤立した存在ではなく、いのちは大きなつながりの中にあり、すべてのいのちが繋がり合って生きているという優しい眼差しが、この森の歩みを支えています。その繋がりは、滋賀県の自然共生サイトが連携するしがネイチャーポジティブネットワーク、さらには台湾の先住民族が共同管理する原生林との「友好森林関係」の構築へと、国境を越えて広がっています。

(写真)広大な森、奥には住宅街

新種「リュウコクヒメベニタケ」が教えてくれること

そんな龍谷の森を歩くと、どこか不思議な生命力に満ちていることに気づきます。実はこの森、「菌類(キノコなど)」が非常に豊富な環境なのです。日本菌学会の方々がフィールド調査に訪れ、なんとこれまでにない新種のキノコが発見されました。そのキノコには、大学の名前を冠した「リュウコクヒメベニタケ」という愛らしい名前がつけられたのです。

大学を象徴するような新しい生物との出会い。これもまた、森を大切に守ってきた長年の取組の賜物なのかもしれません。

学内では、この豊かな自然をただ保全するだけでなく、2つのエリアに明確に分けてゾーニング管理をしています。あえて人の手を入れずに「放置する研究エリア」と、学生たちが手を加える「里山活動エリア」。この2つのアプローチを並行して進めることで、自然本来の回復力と、人と自然が共生する知恵の両方を学んでいます。

(3枚の写真)広がる森、カサの中心が赤ピンク色のリュウコクヒメベニタケ、花にとまる蝶々

学生たちが主体的に取り組む「生きた教室」

「学生たちはね、二ホンミツバチの養蜂のほかにもシイタケの栽培をしたり、一時期は松枯れで減ってしまったアカマツをもう一度復活させようと、植樹活動に主体的に取り組んでいるんですよ」先生方の言葉からは、学生たちへの温かな信頼が滲みます。かつて地元の方から聞いた「この地域は昔、少し松茸が取れたんだよ」という何気ないお話。それを聞いた学生たちが、「じゃあ、アカマツの森を僕たちの手で取り戻そう」と動き出す──。それは、机の上の学問を超えて、自然に触れながら学ぶ「生きた教室」といえる場です。

「いつか、学生たちが作ったものが販売ベースに乗って商品化できたら、それはそれで面白い取り組みになりますよね」

そう語る先生方の笑顔の向こうには、未来への展望が広がっています。

2027年4月に「環境サステナビリティ学部」という新しい学部が新設されます。この学部をハブとして、自然豊かな瀬田キャンパスが「ネイチャーポジティブの実証フィールド」として活用されるように、自治体、企業などとの連携を一層強化されていくそうです。

(2枚の写真)滝谷の森で自然を観察する学生たち、収穫されたキノコ

ヒント:「ネイチャーポジティブの実証フィールド」を共に創る

  • 大学のフィールドを丸ごと活用し、自然資本評価や生物多様性の可視化に関する共同研究を企業や団体のみなさまと一緒に推進できます。

  • 自然共生サイトを活用した、社会人向けのESG教育プログラムや、企業研修・フィールドワークの受け入れなど、実務に直結する学びの場として活用が可能です。

  • プラットフォームを最大限に活かし、大学の知見や優秀な学生たちと共に、持続可能な地域づくりのための「里山保全モデル」を共創できます。

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(環境省 自然環境局 自然環境計画課)

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