2030生物多様性枠組実現日本会議 第四回総会【開催報告】
開催日時 | 令和7年9月9日(火)16:45~18:15 |
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会場 | 環境省 第一会議室 ※オンライン併用 |
参加者 | 委員・関係者70名、傍聴者約70名 |
浅尾環境大臣、筒井J-GBF会長(一般社団法人 日本経済団体連合会会長)出席の下、第四回総会を開催しました。生物多様性に関する最近の動向の共有や、ネイチャーポジティブの実現に向けた今後の活動、「J-GBFネイチャーポジティブ行動計画」の進捗について議論しました。
合わせて、J-GBF構成団体取組事例集及び「ネイチャーポジティブ宣言」発出・賛同団体による取組事例集を公表しました。



総会の開催概要
浅尾環境大臣挨拶
- ネイチャーポジティブの実現に向けた取組は、昨今、大きく進展している。
- 自然共生サイトについては、本年4月に施行された地域生物多様性増進法に基づく最初の国の認定を近く行う予定であり、全国各地の活動を一層促進する。また、企業等による活動への支援を公的に認定する「支援証明書制度」も本年8月から本格運用し、取組の輪を広げていく。
- 昨年3月に策定した「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」を踏まえ、本年7月に、「ネイチャーポジティブ経済移行戦略ロードマップ」を策定し、企業・金融機関を含むステークホルダーに期待するアクションを取りまとめた。
- 具体的には、企業のネイチャーポジティブ経営の拡大に向けて、自然関連財務情報の開示促進、ネイチャーファイナンスの拡大、さらに生物多様性の価値取引を見据えた価値評価の検討に取り組んでいく。また、ネイチャーポジティブな地域づくりの実践、国際競争力強化に向けた自然関連領域の国際標準化などにも取り組む。
- 国際的には、2025年2月にイタリア・ローマで開催された生物多様性条約締約国会議COP16の再開会合で、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」のモニタリングやレビューメカニズム、資源動員戦略などが決定された。さらに、自然関連の財務情報開示タスクフォースTNFDも、国際サステナビリティ基準を決めているISSBとの連携が強化されるなど、めまぐるしい動きがある。
- 企業を含む民間団体や地方公共団体からは、こうした動きに対して強い関心と期待が示されている。これを追い風と捉え、ネイチャーポジティブの実現が、経済成長と社会的価値の創出を両立させ、社会全体の変革へとつながるよう、関係者と連携して力を尽くす所存である。
- 各委員そしてサポーターの皆様方になお一層のお力添えをいただきたい。

筒井J-GBF会長挨拶
- 本年5月に経団連会長に就任し、このJ-GBF会長職も務めることになった。関係皆様のお力添えをいただきながら職責を全うしてまいる所存。
- 日本経済団体連合会は、昨年12月、「FUTURE DESIGN 2040」を公表し、グリーントランスフォーメーション、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブの一体的な進展を目指すべき姿として示した。自然保護は企業の持続可能な成長に直結する重要課題であり、日本経済団体連合会自然保護協議会とも連携し、ネイチャーポジティブ経営の普及と実践に努めている。
- 足もとでは、取り組みの機運は確実に高まっている。J-GBF第一回総会で採択された「ネイチャーポジティブ宣言」への賛同数はすでに1,000者に達する勢いを見せている。企業、NGO、自治体など幅広い主体が結集していることは、極めて大きな力となる。この勢いを一層加速させることが重要と考える。
- 更なる推進には、これまで各方面で積み重ねられてきた活動の広がりを基盤としつつ、企業価値と地域価値の双方を高めていくことが重要である。特に企業によるこの分野への投資拡大には、自然保護活動が評価され、それがまた次の投資を呼び込む好循環を築くことが不可欠である。
- その基盤となるのが、まず「自然がもたらす価値」を、国民や消費者に一層ご理解いただき、行動につなげていただくことである。さらに、日本の取組みや経験が国際的な枠組みの中で正当に位置づけられることも求められる。
- こうした基盤が整うことで、ネイチャーポジティブを支える新たな経済市場の形成が進み、それがやがて我が国の国際競争力の強化につながるものと確信している。
- この方向性は「骨太方針2025」や「新しい資本主義のグランド・デザイン実行計画2025・改訂版」など、政府の施策にも盛り込まれており、大変意義深いことと受け止めている。浅尾大臣の引き続きの力強いリーダーシップを期待している。
- 2030年ネイチャーポジティブに向け、一層の連携を深めるべく、闊達なご議論を期待したい。

最近の生物多様性の動向
事務局及び関係省庁から、昨今の生物多様性に関する国際・国内動向として以下について報告。
【環境省】
- 生物多様性に関する最近の政策動向
【農林水産省】
- みどりの食料システム戦略に基づく取組の進捗状況と今後の展開
【消費者庁】
- エシカル消費の推進に関する最近の取組
令和7年度 J-GBF活動内容について
事務局から以下の内容について報告・説明し、活発な質疑応答、意見交換がされた。
案についていずれも承認された。
- 令和6年度活動報告
- 令和7年度の活動(案)について
- ネイチャーポジティブ行動計画の進捗表について
- ネイチャーポジティブ宣言の進捗について
- その他(新規委員加入、GBFスマート版改良等)
- 予算、寄付金の収支について(報告)
- ビジネスフォーラム、地域連携フォーラム、行動変容WGの活動(案)について
J-GBFネイチャーポジティブ行動計画進捗表の報告
- 構成団体4団体より「ネイチャーポジティブ行動計画」の取組状況が発表された。




有識者委員の藤田委員、涌井委員より、J-GBFの活動についてのコメントが述べられた。


会議の進行は武内会長代理が行い、最後に堀上自然環境局長から閉会挨拶が述べられた。


配布資料
- 議事次第(PDF:198KB)
- 資料1-1 生物多様性の最近の動向(環境省)(PDF:3.3MB)
- 資料1-2 みどりの食料システム戦略に基づく取組の進捗状況と今後の展開(農水省)(PDF:3.7MB)
- 資料1-3 エシカル消費の推進に関する最近の取組について(消費者庁)(PDF:2.4MB)
- 資料2-1 令和7年度J-GBF活動内容(案)(PDF:2.3MB)
- 資料2-2 J-GBFネイチャーポジティブ行動計画進捗表(案)(PDF:2.1MB)
- 資料2-3 J-GBF構成団体によるネイチャーポジティブ取組事例集(PDF:1.9MB)
- 資料2-4 J-GBF構成団体によるネイチャーポジティブ行動計画に基づく取組状況(PDF:4.2MB)
- 参考1 「ネイチャーポジティブ宣言」発出・賛同団体による取組事例集(PDF:4.0MB)