用語集

ネイチャーポジティブに関連する主要な用語についての解説と関連サイトを紹介しています。

本を読むだいだらポジー

あ行

愛知目標 とは?
アイチモクヒョウ

2010年の生物多様性条約締約国会議(COP10)で採択された、生物多様性に関する2011から2020年までの世界目標(戦略計画2011-2020)の中で、2050年までに「自然と共生する世界」を実現することを目指し、2020年までに生物多様性の損失を止めるための効果的かつ緊急の行動を実施するために盛り込まれた20の個別目標のこと。

ISO/TC331 とは?

ISO は(国際標準化機構:International Organization for Standardization)は、産業分野に関する国際規格の作成等を目的として各国の代表的標準化機関から成る国際機関。 TC331 は、生物多様性分野の標準化について検討をするためにISO 内に設立された専門委員会(Technical Committee : TC)のこと。

赤潮 とは?
アカシオ

赤潮はプランクトンが大量発生し、海表が赤く見える現象。色については、赤色だけでは無く茶色・褐色などになることもある。このようなプランクトンの大量発生はある程度までは、食物連鎖を豊かにし、人間にとっても様々な魚介類が多く生存できるようになるため、好ましい側面がある。 しかし、大量発生する生物には、人にとって毒となる物質を生成したり、他の生き物を殺したりする生物が含まれやすく、その様な生き物が大量発生した場合は、人に大きな被害を与える。

アクティブレンジャー とは?
アクティブレンジャー

レンジャー(国立公園管理官・自然保護官等)の補佐役として、国立公園のパトロールや利用者指導、調査研究、自然解説などの野外の業務をはじめ、事業執行のための事務作業など様々な業務を担う非常勤の国家公務員。

アドベンチャーツーリズム とは?
アドベンチャーツーリズム

「自然」、「アクティビティ」、「文化体験」の3要素のうち、2つ以上で構成される旅行のこと。アドベンチャーツーリズムの旅行者は、旅行を通じて自分自身の変化や視野の拡大、学び等を得ることを目的としており、個々のコンテンツの質の高さは当然として、旅行者それぞれの興味・関心に応じたテーマ・ストーリー性のある滞在プランなど、その地域ならではの体験を求めていることが特徴。

ESG投融資 とは?
イーエスジートウユウシ

財務情報だけでなく、企業の環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に関する情報(非財務情報)を考慮した投融資を行うこと。投資家・金融機関が企業価値を中長期的に評価することができ、企業および経済社会の持続的成長につながると期待されている。

いきものログ とは?
イキモノログ

環境省をはじめさまざまな組織や個人のみなさんが持っている生きもの情報を集積して、みんなで共有して提供するシステム。

育成単層林 とは?
イクセイタンソウリン

ほぼ同じ高さの樹冠層を一つもつ森林を人為的に成立させ、維持する施業が行われた森林のこと。

育成複層林 とは?
イクセイフクソウリン

2つ以上の樹冠層を持つ森林、または樹冠が垂直的に連続しており全体として一つの樹冠層を形成する森林を人為的に成立させ、維持する施業が行われた森林のこと。

遺伝子組換え とは?
イデンシクミカエセイブツタイサク (バイオセーフティー)

ある生物から目的とする遺伝子を取り出し、改良しようとする生物に導入する技術のことを「遺伝子組換え技術」といい、この技術を用いて新しい性質を組み入れられた生物のことを「遺伝子組換え生物」と呼ぶ。  従来の品種改良も、人の手によって遺伝子の構成を変化させていることに変わりはありませんが、遺伝子組換え技術には、「種を超えて」「短期間で」「目的とする性質を確実に」導入可能といった特徴があります。

遺伝的攪乱 とは?
イデンテキカクラン

在来種と交配可能な外来種が侵入し、交雑が進むことで在来種の遺伝子の固有性が失われる現象。

ABS(Access and Benefit-Sharing) とは?
エービーエス

遺伝資源の取得の機会(Access)とその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(Benefit-Sharing)のこと。各国が自国の生物多様性の保全に努めるべきとの文脈において、遺伝資源の利用から生ずる利益は、当該遺伝資源を保有する国による保全の努力の恩恵であり、遺伝資源の提供国に還元されるべきではないかとの考えのもと、生物多様性条約の3つ目の目的に位置づけられている。

エコツーリズム とは?
エコツーリズム

地域ぐるみで自然環境や歴史文化など、地域固有の魅力を観光客に伝えることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指す観光のこと。エコツーリズム推進法においては、「自然環境の保全」、「観光振興」、「地域振興」、「環境教育の場としての活用」を基本理念としている。

エコロジカルネットワーク とは?
エコロジカルネットワーク

人と自然の共生を確保していくため、原生的な自然地域等の重要地域を核として、生態的なまとまりを考慮した上で、有機的に繋いだ生態系のネットワーク。ネットワークの形成により、野生生物の生息・生育空間の確保、人と自然とのふれあいの場の提供、地球温暖化防止等多面的な機能が発揮されることが期待されている。

SDGs とは?
エスディージーズ

持続可能な開発目標。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。

SBT(Science Based Targets) とは?
エスビーティー

パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃)に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のこと。

SBTs for Nature とは?
エスビーティーフォーネイチャー

SBTs for Natureは、バリューチェーン上の水・生物多様性・土地・海洋が相互に関連するシステムに関して、企業等が地球の限界内で、社会の持続可能性目標に沿って行動できるようにする、利用可能な最善の科学に基づく、測定可能で行動可能な期限付きの目標。企業はSBTs for Natureの目標設定をすることで、生物多様性等の関連する国連の条約や持続可能な開発目標(SDGs)に沿った行動ができるようになる。 国際的な45以上の組織で構成されるScience Based Targets Network によって、SBTs for Natureの設定手法の開発が進められている。

OECM とは?
オーイーシーエム

保護地域以外の生物多様性保全に資する地域のこと。生物多様性条約第14回締約国会議(COP14)において採択されたOECMの定義(環境省仮訳)は以下のとおり。 「保護地域以外の地理的に画定された地域で、付随する生態系の機能とサービス、適切な場合、文化的・精神的・社会経済的・その他地域関連の価値とともに、生物多様性の域内保全にとって肯定的な長期の成果を継続的に達成する方法で統治・管理されているもの」 我が国でも、自然資源管理がなされている企業所有地等を生物多様性保全に貢献する区域として認定する仕組みを検討している。OECMに成り得る例として、企業緑地、豊かな自然を有する都市公園、社寺林などが挙げられる。

温室効果ガス とは?
オンシツコウカガス

大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより、温室効果をもたらす気体のことであり、1997年の第三回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)で採択された京都議定書の附属書Aにおいて、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N20)一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)、パーフルオロカーボン(PFCs)、六弗化硫黄(SF6)とされている。なお、一般的にはフロンガスについても温室効果ガスと考えられるが、これについてはモントリオール議定書にて定義されている。

か行

カーボンニュートラル(炭素中立) とは?
カーボンニュートラル(タンソチュウリツ)

排出される二酸化炭素と、森林などによって吸収される二酸化炭素が同じ量であること。我が国の取組においては、二酸化炭素だけでなく、メタン、一酸化二窒素、フロンガスも含む温室効果ガスの排出量が、吸収量を差し引いてゼロになることを指す。2020年10月の臨時国会では、菅内閣総理大臣により、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことが宣言された。

海洋プラスチックごみ とは?
カイヨウプラスチックゴミ

海洋中に流出したプラスチックごみのこと。海洋生物の誤飲・誤食・絡まりや海浜植物の生育阻害といった直接的な被害だけでなく、水産資源にも大きな影響を与えている。現在、世界全体で年間数百万トンを超えるプラスチックごみが海洋に流出していると推計されている。

海洋保護区 とは?
カイヨウホゴク

海洋生態系の健全な構造と機能を支える生物多様性の保全および生態系サービスの持続可能な利用を目的として、利用形態を考慮し、法律またはその他の効果的な手法により管理される明確に特定された区域。

外来種 とは?
ガイライシュ

外来種とは、人間によって意図的にまたは偶発的に、過去の、または、現在の自然分布域外に導入された種である。しかし、全ての外来種が悪影響を及ぼすわけではなく、問題になるのは5%から20%であると推計されている。それが、侵略的外来種(IAS)と呼ばれる種である。

かわまちづくり とは?
カワマチヅクリ

地域が持つ「資源」や地域の創意に富んだ「知恵」を活かし、市町村や民間事業者、地域住民と河川管理者が連携の下、「河川空間」と「まち空間」が融合した良好な空間形成を目指す国土交通省の取組。2022年12月時点で、全国52カ所で実施されている。

環境アセスメント とは?
カンキョウアセスメント

開発事業を実施する際に、その事業が環境に与える影響についてあらかじめ適正に調査、予測および評価を行い、その結果を公表して住民や地方自治体の意見を聴いて、その事業計画を環境保全の面から、より望ましいものにしていくための一連の手続きのこと。我が国においては「環境影響評価法」により環境アセスメントが法制化されている。

環境基本計画 とは?
カンキョウキホンケイカク

環境基本法第15条に基づき、政府全体の環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項を定めるもの。環境大臣が、中央環境審議会の意見を聴いて案を作成し、閣議決定を求めることとされている。

環境研究総合推進費 とは?
カンキョウケンキュウソウゴウスイシンヒ

「環境研究・環境技術開発の推進戦略(2019年5月環境大臣決定)」に示された「重点課題」及び環境省からの「行政要請研究テーマ(行政ニーズ)」を提示して公募を行い、広く産学民官の研究機関の研究者から提案を募り、評価委員会及び分野毎の研究部会の審査を経て採択された課題を実施する、環境政策貢献型の競争的資金。 気候変動問題への対応、循環型社会の実現、自然環境との共生、環境リスク管理等による安全の確保など、持続可能な社会構築のための環境政策の推進にとって不可欠な科学的知見の集積及び技術開発の促進を目的として、環境分野のほぼ全領域にわたる研究開発を実施している。

環境ラベル とは?
カンキョウラベル

環境ラベルとは、商品やサービスがどのように環境負荷低減に資するかを示すマークや目じるしのこと。製品や包装ラベル、製品説明書、技術報告、広告、広報などに書かれた文言、シンボルまたは図形・図表を通じて購入者に伝達するもの。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task force on Climate-related Financial Disclosures) とは?
キコウカンレンザイムジョウホウカイジタスクフォース(ティーシーエフディー)

気候変動問題が重要性を増すにつれ、各企業は短期の財務諸表には現れないリスクを抱えている可能性が高まり、それは金融システムの大きな不安定要素に成り得ると見られていたことから、2015年G20における財務大臣及び中央銀行総裁会合より要請を受けた金融安定理事会(FSB)が、同年12月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures, TCFD )」を設置し、約1年半の議論を経て、2017年6月に最終報告書(TCFD 提言)を公表した。TCFDは、企業等に対し、気候変動関連リスク及び機会に関する項目について開示することを推奨している。

気候変動 とは?
キコウヘンドウ

気候変動とは、自然変動による、または、人間の活動の結果としての、経時的な気候の変化をいう。この用法は、気候変動を、直接的または間接的に人間の活動に起因し、地球大気の組成を変化させ、同期間の自然の気候変動に加えて観察される気候の変動と定義する国連気候変動枠組条約のものとは異なる。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change) とは?
キコウヘンドウニカンスルセイフカンパネル

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織であり、2021年8月現在、195の国と地域が参加している。IPCCの目的は、各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与えることであり、世界中の科学者の協力の下定期的に報告書を作成し、気候変動に関する最新の科学的知見の評価を提供している。

希少野生動植物 とは?
キショウヤセイドウショクブツ

国内外に生息する絶滅のおそれのある野生生物のこと。これらの種を保存するため、1993年4月に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)が施行された。種の保存法では、「国内希少野生動植物種」としてレッドリストに掲載されている絶滅のおそれのある種(絶滅危惧I類、II類)のうち、人為の影響により生息・生育状況に支障をきたしているものの中から指定している。国際希少野生動植物種については、ワシントン条約、二国間渡り鳥等保護条約・協定に基づいて指定している。

グリーンインフラ とは?
グリーンインフラ

1990年代後半頃から欧米を中心に使われてきた、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用する考え方のこと。我が国では、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取組と整理されている。

グリーン購入 とは?
グリーンコウニュウ

製品やサービスを購入する際に、環境を考慮して、必要性をよく考え、環境への負荷ができるだけ少ないものを選んで購入すること。2001年4月から、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)が施行され、国等の機関にグリーン購入を義務づけるとともに、地方公共団体や事業者・国民にもグリーン購入に努めることを求めている。

グリーンファイナンス とは?
グリーンファイナンス

サステナビリティ・リンク・ローン(借り手が野心的なサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を達成することを奨励するローン)、サステナビリティ・リンク・ボンド(調達資金全てがグリーンプロジェクトやソーシャルプロジェクトの初期投資又はリファイナンスのみに充当され、かつ、GBP(又は本ガイドライン)と「ソーシャルボンド原則」(又は金融庁策定のソーシャルボンドガイドライン)いずれか一方又は両方の4つの核となる要素に適合する債券)及びインパクトファイナンス(適切なリスク・リターンを確保しつつ、環境・社会・経済にポジティブなインパクトをもたらすことを意図したファイナンス)のこと。

グリーンボンド(Green Bond) とは?
グリーンボンド

企業や地方自治体等が、国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券のこと。グリーンプロジェクトとは、環境改善効果がある事業であり、 環境面からのネガティブな効果(環境負荷)がその環境改善効果と比べ過大にならないと評価されるもの。

国外由来の在来種 とは?
コクガイユライノザイライシュ

低コストや一定の流通量が確保されているなどの利点から、自然分布する種と同種であるものの国外で採取又は生産された植物をいい、緑化植物として使用される場合がある。もともと自然に分布する種が、そのような異なる地域から持ち込まれた同種との交雑で遺伝的攪乱を受け、地域固有の在来種がもつ遺伝的多様性が低下するといった、遺伝子の多様性への影響も問題視されている。

国内由来の外来種(国内外来種) とは?
コクナイユライノガイライシュ(コクナイガイライシュ)

在来種(本来の分布域に生息・生育する生物)であっても、日本国内のある地域から、もともといなかった地域に持ち込まれた場合も「外来種」となり、もとからその地域にいる生物に影響を与える場合がある。このような「外来種」のことを「国内由来の外来種」という。

国立公園 とは?
コクリツコウエン

日本を代表するすぐれた自然の風景地を保護するために開発等の人為を制限するとともに、風景の観賞などの自然に親しむ利用がし易いように、必要な情報の提供や利用施設を整備しているところであり、環境大臣が自然公園法に基づき指定し、国が直接管理する自然公園。

国立公園満喫プロジェクト とは?
コクリツコウエンマンキツプロジェクト

政府が2016年3月に取りまとめた「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づき、日本の国立公園を世界水準の「ナショナルパーク」としてブランド化するとのコンセプトの下、推進しているプロジェクト。

国連気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change:UNFCCC) とは?
コクレンキコウヘンドウワクグミジョウヤク

大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタンなど)の濃度を安定化させることを目的とし、1992年5月に採択、1994年3月に発効された。本条約に基づき、1995年から気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されている。

国連食糧農業機関(FAO) とは?
コクレンショクリョウノウギョウキカン(エフエーオー)

国連システムの中にあって食料の安全保障と栄養、作物や家畜、漁業と水産養殖を含む農業、農村開発を進める先導機関のこと。

国連生態系回復の10年 とは?
コクレンセイタイケイカイフクノジュウネン

国連環境計画と国連食糧農業機関が主導する、人と自然のために、世界中の生態系を保護し、その劣化を抑制するとともに、生態系の再生を目指す取組のこと。2019年3月の国連総会において、生物多様性条約第14回締約国会議における要請を受け、2021年からSDGsの目標年でもある2030年までの10年間を「国連生態系回復の10年」と位置付けることが決議された。

コベネフィット とは?
コベネフィット

一つの政策、戦略、又は行動計画の成果から生まれる、複数の分野における複数のベネフィットのこと。

昆明・モントリオール生物多様性枠組 とは?
コンメイ・モントリオールセイブツタヨウセイワクグミ

2022年12月に採択された生物多様性に関する世界目標のこと。新枠組は、2050年ビジョン、2030年ミッション、2050年グローバルゴール、2030年グローバルターゲット、及びその他の関連要素から構成されている。2030年グローバルターゲットには、日本が特に重視している30by30や自然を活用した解決策などの要素に加え、進捗を明確にするために8個の数値目標が盛り込まれた。

さ行

30by30目標 とは?
サーティバイサーティモクヒョウ

2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標。2022年に開催されたCOP15において、新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に盛り込まれた。日本国内でこの目標を実現できるよう、その行程と具体策を示す「30by30ロードマップ」が2022年4月に公表されている。

在来種 とは?
ザイライシュ

自然分布域に生息する生きもののこと。

サステナブルツーリズム(Sustainable tourism) とは?
サステナブルツーリズム

世界観光機関(UNWTO)の定義によると、訪問客、産業、環境、受け入れ地域の需要に適応しつつ、現在と未来の環境、社会文化、経済への影響に十分配慮した観光のこと。持続可能な観光を実現するには、「環境」、「社会文化」、「経済」の3領域の適切なバランスが求められる。

里海 とは?
サトウミ

人手が加わることにより生物生産性と生物多様性が高くなった沿岸海域のこと。里海は、古くから水産・流通をはじめ、文化と交流を支えてきた大切な海域である。高い生物生産性と生物多様性が求められるとともに、人と自然の領域の中間点にあるエリアでもあり、陸地でいう里山と同じく人と自然が共生する場所でもある。健全な里海は、人の手で陸域と沿岸海域が一体的に総合管理されることによって、物質循環機能が適切に保たれ、豊かで多様な生態系と自然環境を保全することで、私たちに多くの恵みを与えてくれる。この貴重な財産を次代へと継承するため、より多くの人が環となって「望ましい沿岸海域の環境」を維持していかなければならない。

里地里山 とは?
サトチサトヤマ

原生的な自然と都市との中間に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、草原などで構成される地域のこと。人口の減少や高齢化の進行、産業構造の変化により、里山林や野草地などの利用を通じた自然資源の循環が少なくなることで、大きな環境変化を受け、里地里山における生物多様性は、質と量の両面から劣化が懸念されている。

SATOYAMAイニシアティブ とは?
サトヤマイニシアティブ

日本では里山・里海と呼ばれる二次的自然地域(社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS))の持続可能な維持・再構築を通じて、自然共生社会の実現を目指す国際的な取組を指す。2007年に、我が国が国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)とともに提唱し、2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)期間中に、具体的な取組推進の場としてSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)が発足した。

砂漠化対処条約 とは?
サバクカタイショジョウヤク

砂漠化の問題に国際的に取り組んで行くため、1994年6月17日に採択された「深刻な干ばつ又は砂漠化に直面する国(特にアフリカの国)における砂漠化に対処するための国際連合条約」。 特にアフリカ諸国を中心とした開発途上国において深刻化する砂漠化問題に対し、国際社会がその解決に向けて協力することを目的としています。

サプライチェーン とは?
サプライチェーン

原材料としての資源が採取されてから、製品として最終消費者に届くまでの、生産、加工、流通等の供給プロセスのつながりのこと。国内の生産活動は、サプライチェーンを通じて国内外の環境に影響を与えている。環境負荷を削減し、自然資源を将来にわたって利用するためには、持続可能なサプライチェーンを構築する必要がある。

G7・2030年自然協約 とは?
ジーセブンニセンサンジュウネンシゼンキョウヤク

2021年6月に英国・コーンウォールにて開催されたG7サミットにおいて、2030年までに生物多様性の損失を止めて反転させるという世界的な任務を支える「G7 2030年自然協約」がG7として採択された。この自然協約においてG7各国は、上記の目的のための行動として、国内の状況に応じて2030年までにG7各国の陸地及び海洋の少なくとも30%を保全又は保護すること、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を基礎として、プラスチックによる海洋汚染の深刻化に対処するための行動の加速化等にコミットしている。

G7ネイチャーポジティブ経済アライアンス とは?
ジーセブンネイチャーポジティブケイザイアライアンス

2023年G7 札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合において、ネイチャーポジティブ経済に関する知識の共有や情報ネットワークの構築の場として設立されたアライアンス。

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD:Task force on Nature-related Financial Disclosures) とは?
シゼンカンレンザイムジョウホウカイジタスクフォース

2021年6月、企業活動に対する自然資本及び生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築する国際的な組織として、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が設立された。既に取組が進んでいる気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task force on Climate-related Financial Disclosures)に続く枠組みであり、資金の流れをネイチャーポジティブ(生物多様性の損失を食い止め、回復に転じさせる)に移行させるという観点で、自然関連リスクや機会に関する情報開示の枠組みを構築することを目指している。

自然環境保全基礎調査 とは?
シゼンカンキョウホゼンキソチョウサ

自然環境保全基礎調査は、全国的な観点から我が国における自然環境の現況及び改変状況を把握し、自然環境保全の施策を推進するための基礎資料を整備するために、環境省が1973年度より自然環境保全法第4条の規定に基づきおおむね5年ごとに実施している調査。一般に「緑の国勢調査」と呼ばれ、陸域、陸水域、海域の各々の領域について国土全体の状況を調査している。

自然環境保全地域 とは?
シゼンカンキョウホゼンチイキ

自然環境保全法及び都道府県条例に基づき、自然環境の保全や生物の多様性の確保のために指定された地域。ほとんど人の手の加わっていない原生の状態が保たれている地域や優れた自然環境を維持している地域として、「原生自然環境保全地域」、「自然環境保全地域」、「沖合海底自然環境保全地域」または「都道府県自然環境保全地域」が指定されている。

自然共生サイト とは?
シゼンキョウセイサイト

民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域のこと、環境省は、「自然共生サイト」として認定する仕組みを2023年度から正式に開始した。

自然再生 とは?
シゼンサイセイ

過去に損なわれた生態系やその他の自然環境を取り戻すこと。自然再生推進法では、関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者等地域の多様な主体が参加して、河川、湿原、干潟、藻場、里地、里山、森林その他の自然環境を保全し、再生し、若しくは創出し、又はその状態を維持管理することと規定されている。

自然資源 とは?
シゼンシゲン

土壌、水、植物、野生生物など、人間のニーズに応える上で価値のある自然環境の特徴または構成要素。経済的な価値を持つもの(木材など)と、「非経済的」な価値を持つもの(景観の美しさなど)がある。

自然資本 とは?
シゼンシホン

森林、土壌、水、大気、生物資源など、自然界で発生する資源のストックのこと。生態系サービスは、自然資本から生み出されるフローと捉えることができる。このように、自然環境を国民の生活や企業の経営基盤を支える重要な資本の一つとして捉える考え方が注目されている。

自然と共生する世界 とは?
シゼントキョウセイスルセカイ

2010年に愛知県名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開かれ、2011年以降の世界目標である愛知目標が採択された。愛知目標では、2050年までの長期目標(Vision)として「自然と共生する世界」の実現が掲げられており、「2050年までに、生物多様性が評価され、保全され、回復され、そして賢明に利用され、それによって生態系サービスが保持され、健全な地球が維持され、すべての人々に不可欠な恩恵が与えられる」世界と説明された。この長期目標は、最新の世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に引き継がれている。

自然と人々のための高い野心連合(HAC: High Ambition Coalition for Nature and People) とは?
シゼントヒトビトノタメノタカイヤシンレンゴウ

愛知目標の次の目標となる「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に、「2030年までに、地球上の陸と海の少なくとも30%を保全する」といういわゆる30by30目標の位置づけなどを求めた野心連合。2021年1月のワンプラネットサミットで正式に発足し、日本も参加を表明した。

自然を活用した解決策(NbS:Nature-based Solutions) とは?
シゼンヲカツヨウシタカイケツサク

健全な自然生態系が有する機能を活かして社会課題の解決を図る取組。主目的の課題解決に加え、複数の効果をもたらすという特徴を有す。気候変動を始め様々な分野において注目され、国連気候変動枠組条約や生物多様性条約における議論でも定着しつつある。
国際自然保護連合(IUCN)が2009年に提唱した概念であり、国連環境計画(UNEP)では、2022年に「社会、経済、環境課題に効果的かつ順応的に対処し、同時に人間の福利、生態系サービス、強靭性、生物多様性への恩恵をもたらす、自然または改変された陸上、淡水、沿岸、海洋生態系の保護、保全、回復、持続可能な利用、管理のための行動」と定義している。

持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development) とは?
ジゾクカノウナカイハツノタメノキョウイク

気候変動、生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大等、人類の開発活動に起因する問題を、自らの問題として主体的に捉え、人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことで、問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習・教育活動のこと。2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」で我が国が提唱した考え方であり、ユネスコを主導機関として国際的に取り組まれてきた。 2020年より、ESDに関する新たな国際枠組みである「持続可能な開発のための教育:SDGs実現に向けて(ESD for 2030)」が開始されており、そのような国際的な動向も踏まえ、文部科学省・環境省の両事務次官が共同議長を務める「持続可能な開発のための教育に関する関係省庁連絡会議」において、2021年5月に「我が国における「持続可能な開発のための教育(ESD)」に関する実施計画」(第2期ESD国内実施計画)が策定された。

持続可能な開発のための国連海洋科学の10年(2021-2030年) とは?
ジゾクカノウナカイハツノタメノコクレンカイヨウカガクノジュウネン

2017年の12月に行われた第72回国連総会で採択されたもので、海洋科学の推進により持続可能な開発目標(SDG14等)を達成するため、2021-2030年の10年間に集中的に取組を実施する国際枠組のこと。実施計画では、10年間の取組で目指す社会的成果として、きれいな海、健全で回復力のある海、予測できる海、安全な海、持続的に収穫できる生産的な海、万人に開かれ誰もが平等に利用できる海、心揺さぶる魅力的な海の7つが掲げられており、そのために、海洋汚染の減少や海洋生態系の保全から、海洋リテラシーの向上と人類の行動変容まで10の挑戦課題に取り組むこととされている。

湿原 とは?
シツゲン

泥炭が堆積した上に形成される草原で、泥炭地とも呼ばれる。一般に寒冷な気候条件の下に発達する。この条件のもとでは、枯死した植物の腐敗・分解が妨げられるので、遺体は泥炭となって堆積し、その上に次々と草原が生育していくことになる。

湿地 とは?
シッチ

沼沢地、湿原、泥炭地又は水域をいい、低潮時における水深が6メートルを超えない海域のこと。湿原、湖沼、ダム湖、河川、ため池、湧水地、水田、遊水池、地下水系、塩性湿地、マングローブ林、干潟、藻場、サンゴ礁などが含まれる。特にラムサール条約で定められた基準に従って指定された地域は「ラムサール条約湿地」と呼ばれる。

重要里地里山 とは?
ジュウヨウサトチサトヤマ

さまざまな命を育む豊かな里地里山を、次世代に残していくべき自然環境の一つであると位置づけ、環境省が選定した「生物多様性保全上重要な里地里山。

重要湿地 とは?
ジュウヨウシッチ

生物多様性の観点から重要度の高い湿地のこと。環境省では情報収集のための基礎調査を行い、生物多様性の観点から有識者の意見などを踏まえて、「日本の重要湿地500」を選定。

循環型社会 とは?
ジュンカンガタシャカイ

循環型社会形成推進基本法第2条において、「製品等が廃棄物等となることが抑制され、並びに製品等が循環資源となった場合においてはこれについて適正に循環的な利用が行われることが促進され、及び循環的な利用が行われない循環資源については適正な処分(廃棄物(ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のものをいう。)としての処分をいう。)が確保され、もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会をいう。」とされる。

循環経済(サーキュラーエコノミー) とは?
サーキュラーエコノミー (ジュンカンケイザイ)

資源・製品の価値の最大化を図り、資源投入量・消費量を抑えつつ、廃棄物の発生の最小化につながる経済活動全体

順応的な取組方法(順応的管理) とは?
ジュンノウテキナトリクミホウホウ

既存のプログラムの結果から学ぶことにより、管理方針および実践を継続的に改善する体系的なプロセス

針広混交林 とは?
シンコウコンコウリン

針葉樹と広葉樹が混じり合った森林のことであり、一般的に公益的機能が高いとされている。

人工資本 とは?
ジンコウシホン

人間の知識・技術・教育、健康・寿命等のこと。道路、建物、機械、設備等のこと。経済学においては、生産の基盤となる資本として、伝統的に人工資本と人的資本が注目されてきたが、近年はそれらとならんで自然資本の重要性が注目されている。

人獣共通感染症 とは?
ジンジュウキョウツウカンセンショウ

同一の病原体により、ヒトとヒト以外の脊椎動物の双方が罹患する感染症のこと。全ての感染症のうち約半数を占めており、医師及び獣医師は活動現場で人獣共通感染症に接触するリスクを有する。こうした分野横断的な課題に対し、人、動物、環境の衛生に関わる者が連携して取り組むOne Health(ワンヘルス)という考え方が世界的に広がっている。

侵略的外来種 とは?
シンリャクテキガイライシュ

外来種の中で、地域の自然環境に大きな影響を与え、生物多様性を脅かすおそれのある種のこと。日本国内においては沖縄島や奄美大島に持ち込まれたマングース、小笠原諸島に入ってきたグリーンアノールなどが該当する。2015年3月には環境省及び農林水産省において、日本における侵略的外来種を整理した「生態系被害防止外来種リスト」が作成されている。

森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言 とは?
シンリントチリヨウニカンスルグラスゴーリーダーズセンゲン

2021年11月に英国・グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、英国ボリス・ジョンソン首相が主催する「世界リーダーズ・サミット」が開催され、その一環として、11 月 2 日に森林減少を終わらせ森林を回復させることに対する機運を高めるため、「森林・土地利用イベント」が開催された。同イベントにおいて、2030 年までに森林の消失と土地の劣化を食い止め、さらにその状況を好転させるため、森林保全とその回復促進などの取組を強化する「森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言」が発表された。本宣言は、我が国をはじめ、英国、米国、EU、インドネシア、ブラジルなど 140 以上の国・地域が参加している。

森林の多面的機能 とは?
シンリンノタメンテキキノウ

森林の有する国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の様々な機能のこと。

生産緑地 とは?
セイサンリョクチ

市街化区域内の農地で、良好な生活環境の確保に効用があり、公共施設等の敷地として適している農地。都市計画に定め、建築行為等を許可制により規制されており、固定資産税の農地課税、相続税の納税猶予といった軽減措置が講じられている。

生息域外保全 とは?
セイソクイキガイホゼン

生息地ではなく、安全な施設に生きものを保護して、それらを育てて増やすことにより絶滅を回避する方法。例えば、動物園や水族館、植物園などで絶滅のおそれのある生きものたちを飼育・栽培していることも「生息域外保全」にあたる。また、場合によっては、増やした生きものを生息地に戻す「野生復帰」の取り組みもおこなわれる。

生態系サービス(Ecosystem Services) とは?
セイタイケイサービス

私たちの暮らしは食料や水の供給、気候の安定など、生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵みによって支えられている。これらの恵みを総称して「生態系サービス」と呼ぶ。国連が発表したミレニアム生態系評価報告書(MA)では、生態系サービスを「供給サービス」、「調整サービス」、「文化的サービス」、「基盤サービス」の4つに分類している。

生態系サービスへの支払い(PES:Payment for Ecosystem Services) とは?
セイタイケイサービスヘノシハライ(ペス)

国際的に合意された定義はないが、原則として以下の要件を満たすものとされる。
1. 生態系サービスの受益者と供給者との自発的な売買
2. 生態系サービスの明確な定義化(またはそれらのサービスに関連する土地利用の定義化)
3. 生態系サービスの購入者(買い手)の存在
4. 生態系サービスの供給を管理する生態系サービスの供給者(売り手)の存在
5. 生態系サービス供給者が生態系サービスの供給を継続的に確実にすること

生態系ネットワーク とは?
セイタイケイネットワーク

生物多様性が保たれた国土を実現するために、保全すべき自然環境や優れた自然条件を有している地域を核として、これらを有機的につなぐ取組のこと。川・森・農地・海といった自然のつながりは、国土レベルでの生態系ネットワークの基軸であり、その形成には関係する機関・団体等が積極的に連携して取り組むことが必要とされている。

生態系レッドリスト とは?
セイタイケイレッドリスト

生態系レッドリストとは、絶滅危惧生態系(絶滅が危惧される生態系)が掲載されたリストのこと。個体数の少ない種(希少種)に着目した保全施策だけでは不十分という指摘から、生態系、植物群落、および地形を対象としたレッドリストの整備が国内外で進められている。

生態系を活用した適応策(EbA) とは?
セイタイケイヲカツヨウシタテキオウサク

気候変動への適応策として生物多様性や生態系サービスを活用するアプローチのこと。生態系は、動植物だけでなく地形、土壌、水、栄養塩などの物質、それらの関係性を総合したシステムであるため、EbAには、「樹木による日射の遮蔽や蒸発散の機能を活用した暑熱リスクの緩和」のような生物の機能を直接活用するものだけでなく、地形や水循環を活用した取り組みも含まれる。

生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR) とは?
セイタイケイヲカツヨウシタボウサイゲンサイ

グリーンインフラの概念の中でも特に防災・減災に注目し、地域において防災・減災対策を実施・検討する際に、自然災害に対して脆弱な土地の開発を避け、人命や財産が危険な自然現象に暴露されることを回避する(暴露の回避)とともに、生態系の持続的な管理、保全と再生を行うことで、生態系が有する多様な機能を活かして災害に強い地域をつくる(脆弱性の低減)という考え方。

生物群集 とは?
セイブツグンシュウ

ある一定区域に生息し相互作用し合う異種個体群からなる全体の集合

生物相 とは?
セイブツソウ

特定の地域に生息・生育する生物種のリストのこと。

生物多様性 とは?
セイブツタヨウセイ

すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない。)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む。

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES:Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services) とは?
セイブツタヨウセイオヨビセイタイケイサービスニカンスルセイフカンカガクセイサクプラットフォーム(イプベス)

生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策のつながりを強化する政府間のプラットフォームとして、2012年4月に設立された政府間組織のこと。科学的評価、能力養成、知見生成、政策立案支援の4つの機能を活動の柱としており、その成果は、生物多様性条約に基づく国際的な取組や、各国の政策に活用されている。気候変動分野で同様の活動を進めるIPCCの例から、生物多様性版のIPCCと呼ばれることもある。

生物多様性及び生態系サービスの総合評価(JBO) とは?
セイブツタヨウセイオヨビセイタイケイサービスノソウゴウヒョウカニセンニジュウイチ

 日本の生物多様性・生態系サービスの現状と、特に、生物多様性の損失を止めて回復に向かわせるための「社会変革」のあり方に関して科学的知見を提供することを目的としてまとめられた報告書。

生物多様性基本法 とは?
セイブツタヨウセイキホンホウ

生物多様性基本法は、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する施策を総合的・計画的に推進することで、豊かな生物多様性を保全し、その恵みを将来にわたり享受できる自然と共生する社会を実現することを目的とし、2008年5月に議員立法により成立し、同年6月に施行された。

生物多様性情報クリアリングハウスメカニズム とは?
クリアリングハウスメカニズム

生物多様性情報クリアリングハウスメカニズム(CHM)とは、生物多様性に関わる多数の情報について互いに持っている情報の交換・流通を促進していくためのメタデータ検索システム

生物多様性国家戦略 とは?
セイブツタヨウセイコッカセンリャク

生物多様性国家戦略とは、生物多様性条約及び生物多様性基本法に基づく、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する国の基本的な計画のこと。

生物多様性条約(生物の多様性に関する条約)(Convention on Biological Diversity: CBD) とは?
セイブツタヨウセイジョウヤク

希少種の取引規制や特定の地域の生物種の保護を目的とする既存の国際条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)等)を補完し、生物の多様性を包括的に保全し、生物資源の持続可能な利用を行うための国際的な枠組みとして、1992年5月に採択、1993年12月に発効された。本条約に基づき、1994年から生物多様性条約締約国会議(COP)が開催されている。

生物多様性条約締約国会議(COP) とは?
セイブツタヨウセイジョウヤクテイヤクコクカイギ

生物多様性条約(CBD : Convention on Biological Diversity)を結んでいる国や地域が参加している会議。生物多様性条約とは、人類の生存を支え、人類に様々な恵みをもたらす生物多様性の保全を世界全体で取り組むことを目的に1992年につくられた条約で、2022年現在締約国及び地域数は196で、1994年から原則2年に1回開催されている。 COPの後に続く数字は開催回数を表している。
COP10は2010年に日本・名古屋で開催され、2020年までの世界目標である「愛知目標」が採択された。
COP15は第一部が2021年に中国・昆明、第二部が2022年にカナダ・モントリオールで開催され、第二部では愛知目標に代わる2030年までの世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択された。

生物多様性センター とは?
セイブツタヨウセイセンター

生物多様性国家戦略を受けて、わが国の生物多様性の保全を積極的に推進し、世界の生物多様性の保全に貢献するための中核的拠点として設立された。

生物多様性地域戦略 とは?
セイブツタヨウセイチイキセンリャク

生物多様性基本法に基づき地方公共団体が策定する、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する基本的な計画のこと。

生物多様性と気候変動に関するIPBES-IPCC 合同ワークショップ とは?
セイブツタヨウセイトキコウヘンドウニカンスルイプベスアイピーシーシーゴウドウワークショップ

1988年に設立された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と、2012年設立の生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)が、両分野の関連性が重要視されていること、統合的な視座の必要とされていることを踏まえ、2022年12月に共催した生物多様性と気候変動に関するワークショップ。同ワークショップの報告書では、生物多様性と気候変動の関係性について、将来生じうる気候変動が生物多様性に与える影響とリスクとともに、生物多様性における変化が気候の特徴に与える変化、影響について記載している。

生物多様性と生態系サービスに関する地球規模評価報告書 とは?
セイブツタヨウセイトセイタイケイサービスニカンスルチキュウキボヒョウカホウコクショ

1970 年代から2050 年までの期間の地球全体を対象に、自然科学や社会科学の知識、ならびに幅広い知識体系や多次元にわたる価値観を総括した、2005年発表のミレニアム生態系評価以来の生物多様性と生態系サービスに関する地球規模の評価書。2019年のIPBES総会第7回会合で承認された。主要なメッセージは以下の4点。 A.自然とその人々への重要な寄与(生物多様性と生態系の機能やサービスとも表現される)は、世界的に悪化している。 B.直接的、間接的な変化要因が過去 50年で増大している。 C.自然の保全と持続可能な利用、および持続可能な社会の実現に向けた目標は、このままでは達成できない。2030年以降の目標の達成に向けて、経済、社会、政治、技術すべてにおける変革(transformative change)が求められる。 D.自然の保全、再生、持続的可能な利用と世界的な社会目標は、社会変革に向けた緊急で協調した努力によって同時に達成することができる。

生物多様性の観点から重要度の高い海域 とは?
セイブツタヨウセイノカンテンカラジュウヨウドノタカイカイイキ

海洋の生物多様性の保全と持続可能な利用の推進に資することを目的に「生物多様性の観点から重要度の高い海域」を環境省が抽出。2011年度からの3年間にわたる検討の結果、沿岸域では270カ所、沖合表層域では20カ所、沖合海底域では31カ所が抽出された。

生物多様性のための30by30アライアンス とは?
セイブツタヨウセノタメノサーティバイサーティアライアンス

30by30目標達成に向けた取組をオールジャパンで進めるための企業・自治体・団体による有志連合。 アライアンス参加者は、30by30目標達成に向けた直接的な保全地域の確保又は保全活動の支援に取り組み、その内容を発信していくこととなっている。

生物多様性民間参画ガイドライン とは?
セイブツタヨウセイミンカンサンカクガイド

生物多様性に関する活動への事業者の参画を促すことを通じて、生物多様性の保全と持続可能な利用を促進することを目的として策定されたガイドライン。生物多様性基本法の責務規定等に基づき、事業者が主体的に取り組む際の指針を提供するものとしている。

世界遺産 とは?
セカイシゼンイサン

世界遺産は、「顕著な普遍的価値(人類全体にとって特に重要な価値)」を有し、将来にわたり保全すべき遺産として世界遺産委員会が認め、「世界遺産一覧表」に記載されたもの。世界遺産には「自然遺産」、「文化遺産」及びその両方の価値を兼ね備えている「複合遺産」があります。

世界経済フォーラム(WEF) とは?
セカイケイザイフォーラム(ダブリューイーエフ)

1971年、スイスの経済学者クラウス・シュワブによって設立された、グローバルかつ地域的な経済問題に取り組むために、政治、経済、学術等の各分野における指導者層の交流促進を目的とした独立・非営利団体。財源は世界各国の企業や団体からの寄付金であり、年次総会、地域サミット、一般会合など年間を通して実施されるフォーラムの開催が主な活動である。特に毎年おおむね1月下旬にスイス・ダボスで開催される年次総会(通称ダボス会議)では、幅広い分野のビジネス・リーダー及び政府・国際機関のリーダー、メディア・リーダー、著名な学者等、各国の要人が参加する。

絶滅危惧種 とは?
ゼツメツキグシュ

絶滅危惧種とは、絶滅が危惧されるほど個体数や生息地が減少している種のこと。その原因は、開発による生息地の減少、密猟などの乱獲や、環境汚染等により生息数を大きく減らしたことなどが挙げられる。また、近年は地球温暖化による生息環境の変化や消失、人間が持ち込んだ外来生物などによる影響も深刻になっている。絶滅のおそれのある野生生物をリストアップし、データベースにまとめたものは「レッドリスト」と呼ばれる。

た行

脱炭素社会 とは?
ダツタンソシャカイ

地球温暖化対策の推進に関する法律第2条の2において、「人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会をいう。」とされ、いわゆるカーボンニュートラルが実現された社会と解される。カーボンニュートラルについては、2015年パリ協定において、世界共通の長期目標として、「今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること」とされており、我が国においても2020年10月に政府として「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」ことが宣言されている。さらには、2021年4月の地球温暖化対策推進本部及び米国主催の気候サミットにおいて、「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく」ことを表明している。

地方環境事務所 とは?
チイキカンキョウジムショ

地域の実情に応じた機動的かつきめ細かな環境政策を展開するため、北海道、東北、福島、関東、中部、近畿、中国四国、九州に設置している環境省の地方支分部局。環境再生・資源循環、環境保全対策、国立公園の管理や野生生物の保護管理等を実施。

地域個体群 とは?
チイキコタイグン

個体群のうち、特定の生息地パッチ(特定の種または特定の種の集まりに適した生息地で、理想的には不適な生息地または異なる物理的特性を持つ生息地に囲まれている地域)で見られるもの。

地域循環共生圏 とは?
チイキジュンカンキョウセイケン

各地域が、地域資源を最大限活用して自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方のこと。第5次環境基本計画(2018年4月)において提唱された。

地域生物多様性増進活動支援センター とは?
チイキレンケイホゼンカツドウシエンセンター

地域生物多様性増進活動支援センターは、地域に根差す中間支援組織として、関係者間における連携及び協力のあっせん、有識者の紹介、必要な情報の収集・整理・分析や助言などを行う。

地球温暖化 とは?
チキュウオンダンカ

別段の記載がない限り産業革命前の水準に対して示される、30年平均の、あるいは特定の年または特定の10年間を中心とした30年間の予想される全球平均地表温度の上昇。過去そして未来にまたがる30年間に関しては、現在の数十年にわたる温暖化傾向は続くと予想されている。

地球規模生物多様性概況第5版(GBO5:Global Biodiversity Outlook 5) とは?
チキュウキボセイブツタヨウセイガイキョウダイゴハン

生物多様性条約事務局が、各国の国別報告書、生物多様性国家戦略、生物多様性に関する既往研究成果やデータを分析し、生物多様性戦略計画2011-2020及び愛知目標の達成状況について分析した報告書であり、2020年9月に第5版が公表された。本書は、ポスト2020目標の検討プロセスに対して科学的な情報を提供する基礎資料となった。

地上資源 とは?
チジョウシゲン

森林、土壌、水、大気、生物等の自然資源のうち、地上部に存在するもののこと。 また、鉱物資源については都市鉱山等が含まれる。

つなげよう、支えよう森里川海プロジェクト とは?
ツナゲヨウ、ササエヨウモリサトカワウミプロジェクト

自然資源(森里川海)を豊かに保ち、その恵みを引き出すこと、一人一人が、森里川海の恵みを支える社会をつくることを目指し、森里川海を保全・再生し、都市部に住む人たちも含めて国民全体で森里川海の保全とそれに関わる人たちをつなげて、支えていくことを目的としたプロジェクト。

ディスサービス とは?
ディスサービス

生態系からもたらされる私たちの暮らしや健康に対する負の影響のこと。

適応策 とは?
テキオウサク

気候変動適応法において、気候変動適応とは「気候変動影響に対応して、これによる被害の防止又は軽減その他生活の安定、社会若しくは経済の健全な発展又は自然環境の保全を図ること」とされており、政府全体として気候変動の影響への適応策を総合的かつ計画的に進めるため、目指すべき社会の姿等の基本的な方針と、基本的な進め方、分野別施策の基本的方向、基盤的施策及び国際的施策を定めた「気候変動の影響への適応計画」を策定している。

TEEBプロジェクト(生態系と生物多様性の経済学) とは?
ティーイーイービー

TEEBは「生態系と生物多様性の経済学(The Economics of Ecosystem and Biodiversity)」の頭文字をとったもの。すべての人々が生物多様性と生態系サービスの価値を認識し、自らの意思決定や行動に反映させる社会を目指し、これらの価値を経済的に可視化することの有効性をうったえるべく、2007年にドイツ・ポツダムで開催されたG8+5環境大臣会議で、欧州委員会とドイツにより提唱された。

天然生林 とは?
テンネンセイリン

伐採など人為の攪乱によって天然更新し、遷移の途上にある森林のこと。天然林が人為の影響がない(少ない)のに対して、天然生林は天然林的要素を持ちながら、伐採という人為の影響を受けているものである。

トレーサビリティ とは?
トレーサビリティ

追跡可能性の意。本来は食品の安全を確保するために、栽培や飼育から加工・製造・流通などの過程を明確にすること。また、その仕組み。

トレードオフ とは?
トレードオフ

環境や人間の幸福のある側面が改善されると、必然的に別の側面が低下したり失われたりする状況のこと。トレードオフは、ほとんどの複雑なシステムを特徴づけるものであり、環境および/または社会経済的成果の向上を目指す意思決定を行う際に考慮すべき重要な要素である。トレードオフとシナジー(シナジーは「Win-Win」シナリオとも呼ばれる)は別物であり、シナジーは、ある望ましい結果の向上が、別の結果の向上につながる場合に生じる。

特定外来生物 とは?
トクテイガイライセイブツ

外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定される。指定された生物の取り扱いについては、輸入、放出、飼養等、譲渡し等の禁止といった厳しい規制がかかる。

な行

鉛中毒 とは?
ナマリチュウドク

水鳥が餌や小石と間違えて鉛散弾を摂取することや、猛禽類がシカ等の哺乳類に含まれる鉛ライフル弾や鉛散弾を摂取することにより、鳥類の体内に鉛が吸収されることを鉛汚染という。この鉛汚染のうち、鉛濃度が比較的高濃度の場合は鉛中毒、鉛中毒よりも低濃度の場合は鉛暴露等と定義される。

南極条約 とは?
ナンキョクジョウヤク

1961年、日本を含む12カ国(他11カ国はアルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、チリ、フランス、ニュージーランド、ノルウェー、ロシア(当時ソ連)、南アフリカ、イギリス、アメリカ)により発効した条約。
南極地域の利用を平和目的に限ることや、科学的調査の自由と国際協力の促進等に関する原則が掲げられている。

二国間渡り鳥等保護条約・協定 とは?
ニコクカンワタリドリトウホゴジョウヤク・キョウテイ

我が国は、米国及びロシアとそれぞれ渡り鳥等保護条約を、また、オーストラリア及び中国とはそれぞれ渡り鳥等保護協定を締結しており、その中で米国、ロシア、オーストラリアとは自国の絶滅のおそれのある鳥類を相互に通報し、輸出入規制等を行っている。

二次草原 とは?
ニジソウゲン

家畜のえさや肥料などとして野草資源を利用するために、火入れや刈り取り、放牧などの人為的な撹乱を受けて維持されてきた草原。

二次的自然 とは?
ニジテキシゼン

人々が古くから持続的に利用や管理してきた農地や二次林など、人が関わることによって形成・維持されている自然環境のこと。これらの二次的自然環境には、多様な種がその生存のために適応・依存しており、その維持・再構築が生物多様性の維持・向上に重要な役割を果たしている。しかし、このような環境も、都市化や産業化、過疎化等の影響により衰退してきている。
これらの地域は学術的には社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(Socio-ecological production landscapes and seascapes, SEPLS)とよばれ、「生息・生育地と土地利用の動的モザイクであり、人間と自然の相互作用によって生物多様性が維持されていると同時に、人々の暮らし、生命の維持や福利に必要なモノやサービスを持続的に享受している場所」と定義づけられている。

二次林 とは?
ニジリン

伐採等により森林が破壊された跡に、土中に残った種子や植物体の生長などにより成立した森林のこと。雑木林とも呼ばれる。

2030生物多様性枠組実現日本会議(J-GBF) とは?
ニセンサンジュウセイブツタヨウセイワクグミジツゲンニホンカイギ

30by30目標をはじめとする、昆明・モントリオール生物多様性枠組等の世界目標・国内戦略の達成に向け、国、地方公共団体、事業者、国民およびNGOやユースなど、国内のあらゆるセクターの参画と連携を促進し、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する取組を推進するため、UNDB-J(国連生物多様の10年日本委員会)の後継組織として2021年11月に設立された組織。

ネイチャーポジティブ(自然再興) とは?
ネイチャーポジティブ

ネイチャーポジティブとは日本語訳で「自然再興」といい、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」ことを指す。今の地球は過去1,000 万年間の平均と比べて10倍~100倍もの速度で生物が絶滅していくなど、いわゆるマイナスの状態にあり、この状況から、これまでの自然環境保全の取り組みだけでなく、経済から社会、政治、技術までの全てにまたがって改善を促していくことで、自然が豊かになっていくプラスの状態にしていこうというのがネイチャーポジティブの趣旨 2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)や、G7 2030年自然協約などにおいてもその考え方が掲げられるなど、国際的な認知度も高まっているキーワード。

ネイチャーポジティブ経営 とは?
ネイチャーポジティブケイエイ

個々の企業が自社の価値創造プロセスにおいて自然の保全の概念をマテリアリティ(重要課題)として位置づけた経営のこと。ネイチャーポジティブは、自然の回復力も含めてその実現を目指すことから、ネイチャーポジティブ経営は、ネイチャーポジティブを実現した経営ではなく、ネイチャーポジティブを目指す経営である。

ネイチャーポジティブ経済移行戦略 とは?
ネイチャーポジティブケイザイイコウサクセン

2024年3月に環境省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の連名で策定、公表。「ネイチャーポジティブ経営」への移行の必要性、移行に当たって企業が押えるべき要素、新たに生まれるビジネス機会の具体例、ネイチャーポジティブ経営への移行を支える国の施策を具体化させた戦略。

は行

バイオマス(biomass) とは?
バイオマス

生物資源(bio)の量(mass)を表す概念から転じた、木材、食品廃棄物、家畜排せつ物、下水汚泥など、生物由来の有機性資源(化石資源を除く)のこと。化石資源が数億年かけて蓄積された有限の資源であるのに対して、バイオマスは現生の生物が光合成により生成する再生可能な資源であり、人間のライフサイクルの中では大気中の二酸化炭素を増加させないという特性(カーボンニュートラル)がある。よって、石油由来のエネルギー・製品をバイオマスで代替することで、二酸化炭素排出削減が可能となる。

バラスト水管理条約 とは?
バラストスイカンリジョウヤク

船舶バラスト水を適切に管理し、バラスト水を介した有害水生生物及び病原体の移動を防止、最小化、最終的には除去することにより、海洋環境保護、生物多様性の保持等を図ることを目的とした条約。正式には「船舶バラスト水規制管理条約(2004年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約)」と呼ばれる。2004年2月に採択され、2017年9月に発効した。

パリ協定 とは?
パリキョウテイ

2015年にパリで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において採択された。世界共通の長期目標として「2℃目標」を設定し、1.5℃に抑える努力を追求すること等が盛り込まれている。

バリューチェーン とは?
バリューチェーン

消費者に提供される製品またはサービスの生産において、各部門のそれぞれの活動(機能)が製品またはサービスの価値に連鎖的に貢献するという考え方。

ビオトープ とは?
ビオトープ

本来その地域にすむさまざまな野生生物が生息することができる空間のことで、「生物の生息空間」と訳される。干潟、湿地、湖沼、河川などの水域や、里山林、草原など、地域の自然を生かしたさまざまなビオトープが整備されている。

東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ とは?
ヒガシアジア・オーストラリアチイキフライウェイ・パートナーシップ

2006年11月にインドネシア・ボゴールで開催された「渡り性水鳥、湿地及び地域住民に関する会議」(新パートナーシップ発足式)において発足したパートナーシップ。東アジア・オーストラリア地域において、渡り鳥の保全に関わる様々な主体の国際的な連携・協力のための枠組みを提供することにより、鳥類の重要生息地の国際的なネットワークを構築するとともに、その普及啓発及び保全活動を促進することを目的としている。

干潟 とは?
ヒガタ

遠浅の海岸で、潮が引くと干出する砂質、砂泥質あるいは泥質の場所のこと。河川によって運ばれた土砂が河口付近に堆積してできたものである。

富栄養化 とは?
フエイヨウカ

窒素・リンなどの栄養塩類は湖沼や海域の生態系を構成する細菌や動植物にとって必須な元素であるが、公共用水域への汚濁負荷物質の流入が高まり、水中の窒素・リンが必要以上に増えると、それを栄養として利用する植物プランクトンが急速に増える。このような状態を富栄養化という。富栄養化の影響でアオコなどが異常増殖すると、水中の溶存酸素が不足し,魚類や藻類が死滅して水環境が悪化する。

豚熱 とは?
ブタネツ

豚熱ウイルスにより起こる豚、いのししの熱性伝染病で、強い伝染力と高い致死率が特徴。感染豚は唾液、涙、糞尿中にウイルスを排泄し、感染豚や汚染物品等との接触等により感染が拡大する。 治療法は無く、発生した場合の家畜業界への影響が甚大であることから、家畜伝染病予防法の中で家畜伝染病に指定されてる。 世界各国に分布しているが、北米、オーストラリア、スウェーデン等では清浄化を達成している。

普通種 とは?
フツウシュ

これまで絶滅が心配されていなかった、普通に見られる生きもののこと。

フットプリント とは?
フットプリント

フットプリントは、一般には足跡や占有面積を意味するが、環境用語として、エコロジカルフットプリントやカーボンフットプリントのように、人間が地球環境に及ぼす影響の大きさを表す指標として用いられる。例えばエコロジカルフットプリントは、個人あるいは市や国で消費する全ての資源を生産し、その結果生じる廃棄物の全てを吸収するために必要な陸地及び水域の総面積をまとめたものである。

プラネタリーバウンダリー(Planetary boundaries) とは?
プラネタリーバウンダリー

ヨハン・ロックストームらによって開発された概念で、人間の活動が急激または不可逆的な環境変化を起こしうる境界線のこと。人間の活動が地球のシステムに与える影響を客観的に評価する方法の一つであり、具体的には、①生物圏の一体性(絶滅の速度/生態系機能の消失)、②気候変動、③海洋酸性化、④土地利用変化、⑤淡水利用、⑥生物地球化学的循環(窒素/リン)、⑦大気エアロゾルの負荷、⑧新規化学物質、⑨成層圏オゾンの破壊の9つについて評価が行われている。

プラネタリー・ヘルス とは?
プラネタリー・ヘルス

地球の自然システムに対する人間の破壊が、人間の健康と地球上のすべての生命に与える影響を分析し、対処することに焦点を当てた、解決志向の学際的分野であり社会運動。

ブルーカーボン(blue carbon) とは?
ブルーカーボン

光合成によって海洋生態系に取り込まれ、有機物として隔離・貯留される炭素のこと。国連環境計画(UNEP)の2009年の報告書において初めて用いられ、陸上で取り込まれるグリーンカーボンと区別された。ブルーカーボンを隔離・貯留する海洋生態系として、海草藻場、海藻藻場、湿地・干潟、マングローブ林が挙げられ、これらは「ブルーカーボン生態系」と呼ばれる。

分散型・自然共生社会 とは?
ブンサンガタシゼンキョウセイシャカイ

生物多様性国家戦略2012-2020では、新たな自然共生社会づくりとして、「地域で供給できる生態系サービスはできるだけ地産地消し、地域の中で循環して持続的に活用していくことを基本としながら、それが困難な場合には、生態系サービスの価値評価等の取組も活用し、国内外も含めたより広域的な視点から生態系サービスの需給でつながる地域を「自然共生圏」として一体的にとらえ、地域間の連携や交流を深めていくことにより、災害などに対してもしなやかに対応することができる自立分散型の社会を目指していくことが重要です。」と記載されている。このような考え方を踏まえた社会のこと。

保護地域 とは?
ホゴチイキ

生物多様性及び自然資源や関連した文化的資源の保護を目的として、法的な手法等により管理される陸域または海域のこと。

ま行

マイクロハビタット とは?
マイクロハビタット

ハビタットとは、生きものの生息場所のこと。特にマイクロハビタットは、入江、レキ浜、浅海底、氾濫原、半自然草原、水田、原生林の林床、湿崖、地下水や伏流水など微細かつ特殊な生息場所をさす。

MARPOL条約 とは?
マルポールジョウヤク

船舶の運航やその事故による海洋の汚染を防止するための条約。正式には「1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書」と呼ばれる。1978年2月に採択され1983年から国際的に発効。日本は1983年6月に加入した。

緑の基本計画 とは?
ミドリノキホンケイカク

都市緑地法に基づき市町村が策定する、都市公園の整備方針、特別緑地保全地区の緑地の保全や、緑化地域における緑化の推進に関する事項など、都市計画制度に基づく施策と、公共公益施設の緑化、緑地協定、住民参加による緑化活動等都市計画制度によらない施策や取り組みを体系的に位置付けた緑のオープンスペースに関する総合的な計画のこと。

みどりの食料システム戦略 とは?
ミドリノショクリョウシステムセンリャク

食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するため、農林水産省が策定した戦略。 同戦略では2050年までに目指す姿として、①農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現、②化学農薬の使用量をリスク換算で50%低減、③化学肥料の使用量を30%低減、④耕地面積に占める有機農業の取組面積を25%、100万haに拡大、⑤2030年までに持続可能性に配慮した輸入原材料調達の実現、⑥エリートツリー等を林業用苗木の9割以上に拡大⑦ニホンウナギ、クロマグロ等の養殖において人工種苗比率100%を実現、等の目標が掲げられている。

モニタリングサイト1000 とは?

基礎的な環境情報の収集を長期にわたって、日本の自然環境の質的・量的な劣化を早期に把握するために全国に1,000か所以上の調査サイトを設置。

藻場 とは?
モバ

海藻や海草が繁茂する場のこと。コンブ類、ホンダワラ類、アラメ・カジメ類等の大型褐藻類や、アマモ類等の海草が繁茂し、光合成が行われるだけでなく、多様な生物のすみかや隠れ家としても機能し、水質浄化や底質安定化の場でもある。

森・里・川・海 とは?
モリサトカワウミ

人と自然が共生した社会を実現していくためには、国土全体にわたって自然環境の質を向上させていくことが必要であり、河川をはじめとした、湖沼、湿原、湧水池などの水系は、森林、農地、都市、沿岸域などをつなぐことで国土における生態系ネットワークの重要な基軸となっているため、国土レベルでのこれらの生態系ネットワークの基軸のつながりを確保していくことが必要とされている。2012年9月に閣議決定された生物多様性国家戦略 2012-2020 において、2020年度までに重点的に取り組むべき施策として「森・里・川・海のつながりを確保する」が初めて掲げられた。

モンスーン とは?
モンスーン

季節的交替する卓越風系、すなわち季節風を意味する。 広い意味では、この季節風伴う雨季も含めて、モンスーンと定義される。 季節風が卓越する地域はモンスーン(季節風)気候帯と呼ばれる。 代表的なものとしては、アジア・モンスーン(インド・モンスーンを含む)、 オーストラリア・モンスーン、アフリカ・モンスーン、南アメリカ・モンスーンなどがあり、アジア・モンスーンに伴う対流活動の変動は日本の天候に大きな影響を与える。

や行

野生鳥獣との軋轢 とは?
ヤセイチョウジュウトノアツレキ

イノシシやニホンジカなどのように地域的に増加又は分布域を拡大して、農林業被害や自然生態系のかく乱を引き起こしたりすること。

ユネスコエコパーク とは?
ユネスコエコパーク

生物多様性の保護を目的に、ユネスコ人間と生物圏(MAB)計画の一環として1976年に開始された、豊かな生態系を有し、地域の自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域。

ユネスコ世界ジオパーク とは?
ユネスコセカイジオパーク

国際的重要性をもつ地形・地質学的遺産を有し、これらの遺産を地域社会の持続可能な発展に活用している地域であり、ユネスコの国際地質科学ジオパーク計画(IGGP)の一事業として実施されている。

予防的な取組方法(予防原則) とは?
ヨボウテキナトリクミホウホウ

重大なあるいは取り返しのつかない破壊が発生するおそれがある場合には、科学的確実性が十分でないという理由で環境劣化を予防するために費用対効果の高い手法を適用することを延期せず、各国の能力に応じて取り組む方法のこと。

ら行

ラムサール条約 とは?
ラムサールジョウヤク

1971年2月にイランのラムサールで採択された湿地に関する国際条約で、正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」という。条約の目的である「湿地の保全・再生」と「ワイズユース(賢明な利用)」、これらを促進する「交流・学習」の3点が基盤である。 本条約に基づき、国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全を促進するため、各締約国がその領域内にある国際的に重要な湿地を1ヶ所以上指定し、条約事務局への登録を行っている。

ランドスケープアプローチ(landscape approach) とは?
ランドスケープアプローチ

一定の地域や空間において、主に土地・空間計画をベースに、 多様な人間活動と自然環境を総合的に取扱い、課題解決を導き出す手法のこと。複数の生態系を含む場において 、生物多様性の保全や持続可能な利用等の複数の土地利用目的を多様なステークホルダーの参画により調整することも、ランドスケープアプローチに含まれるとされている。

リーダーによる自然への誓約(Leaders Pledge for Nature) とは?
リーダーニヨルシゼンヘノセイヤク (リーダーズプレッジフォーネイチャー)

2030年までに生物多様性の減少傾向を食い止め、回復に向かわせるため、野心的な「ポスト2020生物多様性枠組」の策定と完全な実施、新型コロナウイルス感染症からのグリーン復興をはじめとする10の約束事項からなる首脳級イニシアティブ。2021年5月の日英首脳会談において菅義偉内閣総理大臣(当時)が参加を表明。

リオサミット(地球サミット) とは?
リオサミット(チキュウサミット)

1992年にブラジル・リオデジャネイロで行われた「国連環境開発会議(地球サミット)」。「環境と開発に関するリオ宣言」やそれを具体化するための「アジェンダ21」が採択されたほか、気候変動枠組条約や生物多様性条約が署名されるなど、今日に至る地球環境の保護や持続可能な開発の考え方に大きな影響を与えた。

流域治水 とは?
リュウイキチスイ

近年、全国各地で水災害が激甚化・頻発化するとともに、気候変動の影響により、今後、降雨量や洪水発生頻度が全国で増加することが見込まれるため、ハード整備の加速化・充実や治水計画の見直しに加え、上流・下流や本川・支川の流域全体を俯瞰し、国や流域自治体、企業・住民等、あらゆる関係者が協働して取り組む治水の取組のこと。

緑地 とは?
リョクチ

一般的には、樹木や草本などの植物が主体となっている空間を意味する。都市緑地法においては、「樹林地、草地、水辺地、岩石地若しくはその状況がこれらに類する土地(農地であるものを含む。)が、単独で若しくは一体となって、又はこれらに隣接している土地が、これらと一体となって、良好な自然的環境を形成しているもの」と定義されている。

レジリエンス/レジリエント(resilience/resilient) とは?
レジリエンス/レジリエント

自然災害や気候変動などに対して、社会的システムや生態的システムが回復する力を示す概念のこと。一般用語としては困難などに遭遇したときに回復する力を指し、心理学などの分野でも使われてきたが、近年になって防災・環境などの分野で使われるようになった。

レッドリスト とは?
レッドリスト

絶滅のおそれのある野生生物の種のリストのこと。国際的には国際自然保護連合 (IUCN)が作成しており、国内では、環境省のほか、地方公共団体やNGO等が作成を行っている。環境省では、日本に生息・生育する野生生物について、生物学的な観点から個々の種の絶滅の危険度を評価し、レッドリストとしてまとめている。動物については、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、汽水・淡水魚類、昆虫類、陸・淡水産貝類、その他無脊椎動物の分類群ごとに、植物については、維管束植物、蘚苔類、藻類、地衣類、菌類の分類群ごとに作成している。

レンジャー とは?
レンジャー

国立公園の管理や野生動植物の保護などに取組む国立公園管理官・自然保護官等のこと。自然公園法に基づく許認可などの手続きを扱うほか、公園をどのように保護・利用していくかという計画づくりや、公園のパトロールや自然調査、公園を利用してもらうための施設の整備や情報の提供、環境省が持っている土地の管理なども行っている。

わ行

ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約:CITES) とは?
ワシントンジョウヤク(サイテス)

輸出国と輸入国とが協力して国際取引の規制を実施することで、国際取引のための過度の利用による野生動植物種の絶滅を防止し、それらの種の保全を図ることを目的とした条約。正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)」といい、1973年に米国のワシントンD.C.で採択された。

ワンヘルス・アプローチ とは?
ワンヘルス・アプローチ

ヒトと動物、それを取り巻く環境(生態系)は、相互につながっていると包括的に捉え、人と動物の健康と環境の保全を担う関係者が緊密な協力関係を構築し、分野横断的な課題の解決のために活動していこうという考え方。