環境省では「⺠間の取組などによって⽣物多様性の保全が図られている区域」を“⾃然共⽣サイト”に認定する仕組みを令和5年度から開始しました。
令和7年4⽉には、⾃然共⽣サイトを法制化した「地域⽣物多様性増進法」が施⾏され、同年9⽉16⽇、同法令に基づき201か所を初めて⾃然共⽣サイトとして認定しました。同⽉30⽇、「令和7年度 ⾃然共⽣サイト認定式」を東京・砂防会館で執り⾏いました。
当日は認定団体のうち、163団体にご参加いただきました。
令和7年度自然共生サイト認定式を開催しました

第1部
第1部は、「自然共生サイト」を所管する環境省、農林水産省、国土交通省の代表挨拶から始まりました。

「環境省では民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域について、自然共生サイトに認定する仕組みを令和5年度から開始しております。本年4月にはこの仕組みを法制化した『地域生物多様性増進法』が施行され、皆様は本法に基づく認定第1号となりました。認定された皆様の取組に心から敬意を表します。令和6年度までに認定された328か所に今回の認定を加えて、自然共生サイトの累計の認定数は448か所となりました。今後は本日参加の自然共生サイト広報大使の皆様や関係省庁、さらに認定事務を担っている独立行政法人環境再生保全機構の皆様のお力添えを頂きつつ、ネイチャーポジティブの実現に向けて地域に根ざした生物多様性の保全をさらに進めて参ります」

「今回認定を受けられました自然共生サイトには、農地における化学農薬や化学肥料の低減、林地における定期的な伐採など、農林水産業に関係するものが多く含まれており、政府が掲げております2030年ネイチャーポジティブの実現におきましても、農林水産業が果たす役割は大変重要であると考えています。こうした観点から、農林水産省としましては令和3年に策定しました『みどりの食料システム戦略』や令和5年に改定しました『生物多様性国家戦略』に基づきまして、生物多様性の保全に関する取組みを推進しているところであります。引き続き、環境負荷の低減と生産力向上の両立を実現し、農林水産業が持続的に発展していけるように各種政策を力合わせて展開をして参ります」

「国土交通省では、人と自然との共生の実現に向けて、社会資本整備やまちづくりに自然環境の多様な機能を活かす『グリーンインフラ』の取組を進めております。グリーンインフラは気候変動への適応、生物多様性への貢献に加えまして、グリーンインフラに携わる団体や市民の活動が地域コミュニティの形成に繋がる効果もあり、持続可能な地域づくりやウェルビーイングの向上に寄与するものでございます。国土交通省といたしましては、グリーンインフラの拡大に向けて、産官学、地域コミュニティやNPOの皆様と連携した取組を進めて参りたい、また、美しく豊かな自然環境を次の世代に繋ぐため、ここにお集まりの皆様、環境省、農林水産省など関係省庁とも連携して「自然共生サイトの拡大」、「グリーンインフラの活用が当たり前の社会」を目指して参りたいと考えております」
続いて、「⾃然共⽣サイト」審査委員⻑を務める森本幸裕⽒(公益財団法⼈京都市都市緑化協会 理事⻑/京都⼤学名誉教授)による「審査委員⻑総評」が発表されました。

「今回、市町村が複数の活動をとりまとめる「連携増進活動」も認定されました。地域の生物多様性の実態と課題を長期的かつ広域的視点も踏まえたものとするためにこの「連携増進活動」の更なる展開が今後期待されます。新制度では過去の豊かな自然を取り戻す「回復タイプ」と、開発跡地などでの「創出タイプ」も認定する道ができたことに大きな意義があります。さらに、本制度が環境省に加えて農林水産省と国土交通省の共管となったことで、農山村や都市での取組や災害被災地でのより良い復興の観点からも今後の取組に期待したいと思います。
生態系のタイプ別の認定結果は里山林、人工林が多く、また創出緑地、二次草地、水田もありました。既存の保護地域でカバーできていない場所の保全に陽が当たることを期待しています。また、生態系の価値については、里地里山、あるいは生態系サービスを提供する健全な生態系、あるいは希少種の生息地としての価値の認定事例が多くありました。今後は古くから地域の生態系に根ざし地域の伝統文化に貢献してきた森などいわゆる生物文化の多様性への関心と取り組みがさらに広がってほしいと考えております。また、個々のサイトがより広域のエコロジカルネットワークに貢献するということを今後期待しております」
生態系のタイプ別の認定結果は里山林、人工林が多く、また創出緑地、二次草地、水田もありました。既存の保護地域でカバーできていない場所の保全に陽が当たることを期待しています。また、生態系の価値については、里地里山、あるいは生態系サービスを提供する健全な生態系、あるいは希少種の生息地としての価値の認定事例が多くありました。今後は古くから地域の生態系に根ざし地域の伝統文化に貢献してきた森などいわゆる生物文化の多様性への関心と取り組みがさらに広がってほしいと考えております。また、個々のサイトがより広域のエコロジカルネットワークに貢献するということを今後期待しております」
続いて、認定証の授与が⾏われ、201団体の中から「⼀般財団法⼈ セブン-イレブン記念財団」「株式会社⾦沢⼤地」「⿅島市⻑及び連携活動実施者5団体のうち⾳成めだかの楽校」の3組が代表で登壇し、認定証と記念楯を受け取りました。



基調講演では、まず東北⼤学グリーン未来創造機構⼤学院⽣命科学研究科教授 藤⽥⾹⽒が登壇されました。その後、千代⽥区 環境まちづくり部 ゼロカーボン推進技監の川⼜孝太郎⽒は「千代⽥区ネイチャーポジティブ宣⾔」をされました。

「2022年の『CBD-COP15(生物多様性条約第15回締約国会議)』で“昆明・モントリオール生物多様性枠組”が採択され、2030年ミッションネイチャーポジティブ(自然再興)という考えが生まれました。今、ネイチャーポジティブの活動は期待が高まっており、投資家に向けて自然へのリスクや影響を調べて開示するTNFD開示をされている企業様が増えています。国は昨年、ネイチャーポジティブ経済移行戦略を発表し、ネイチャーポジティブを進めるということは自然への負荷を最小化して自然への貢献を最大化する経営であると定義しました。自然共生サイトは企業価値の向上と地域価値の向上のベースとなる場所であります。また、自然共生サイトは土地に紐づく地域ベースの活動であり、気候変動対策など様々なテーマに紐づいています。自然共生サイトがネイチャーポジティブ推進の地域のハブとなることを期待しています」

「千代田区は都心でありながら比較的自然が多くて、皇居周辺も緑が多くありまして、皇居を中心としたエコロジカルネットワークというものを形成しております。緑の豊かなところを千代田区エコスポットとして発信し、野鳥の観察会なども定期的に開催されております。千代田区としては身近な自然体験から消費行動の変容を起こして、ネイチャーポジティブに繋げていきたいと考えております。この度、ネイチャーポジティブ宣言を千代田区として宣言することとなりましたが、ちょうど1000件目のネイチャーポジティブ宣言ということで、この場をお借りして宣言させていただきます」
続いて、⾃然共⽣サイト広報⼤使を務める7名が紹介されました。
自然共生サイト広報大使
自然共生サイト広報大使

最後に、環境省⾃然環境局 局⻑ 堀上勝⽒による閉会挨拶で締めくくりました。

「自然共生サイトは、自然環境行政において大変画期的な制度だと考えております。従前からの保護地域は奥山が多くを占めており、保護地域自体は国土の2割です。その周りの里山等にも価値ある自然がたくさんあり、このような人の暮らしに近い場所を皆様の活動でこれから維持していただきたいと思っております。都市の中の緑を、そして海岸、海においても生物多様性が豊かになるようにしていきたいと思っております。法に基づく第1号として今日認定された皆様は、ある意味、そういう歴史的な転換期の中にいらっしゃるということを是非頭の中に入れていただきながら、今後も活動していただけるとありがたいと思っております」

第2部
第2部では、第1部でお渡しした3団体以外すべての団体に認定証の授与を行いました。授与は、環境省 自然環境局長 堀上勝氏、環境省 大臣官房審議官 成⽥浩司氏、農林水産省大臣官房 みどりの食料システム戦略グループ長 近藤謙介氏、国土交通省 総合政策局 環境政策課長 竹内大一郎氏の4名にて行われました。




授与式の会場には相談ブースやパネル展示エリアも設けられており、参加者にとって情報収集の貴重な機会となりました。
相談ブースでは、環境省職員による自然共生サイトの支援施策の紹介や、サイト運営における悩み相談を行いました。
相談ブースは、多くの方が訪れ、座席が満席となるほど大変にぎわっておりました。
パネル展示は、自然共生サイト関連施策に関するパネルの展示を行いました。
相談ブースでは、環境省職員による自然共生サイトの支援施策の紹介や、サイト運営における悩み相談を行いました。
相談ブースは、多くの方が訪れ、座席が満席となるほど大変にぎわっておりました。
パネル展示は、自然共生サイト関連施策に関するパネルの展示を行いました。



また当日は、3つの会議室に分かれて並行してプログラムが進行し、各団体のPRタイムやパンフレット・特産品の設置を通じて、活動内容を共有する機会が設けられました。
PRタイムでは各団体、4分間の持ち時間の中で、事前に用意いただいた資料を用いて活動紹介や取組の内容の発表が行われました。
参加者の皆様は他団体の発表にも熱心に耳を傾けられ、各会場とも活気ある雰囲気に包まれていました。発表を通じて活発な交流や意見交換が行われ、大変有意義な時間となりました。
PRタイムでは各団体、4分間の持ち時間の中で、事前に用意いただいた資料を用いて活動紹介や取組の内容の発表が行われました。
参加者の皆様は他団体の発表にも熱心に耳を傾けられ、各会場とも活気ある雰囲気に包まれていました。発表を通じて活発な交流や意見交換が行われ、大変有意義な時間となりました。


