青森県 つがる市

国内有数の「風」を地域のエネルギー資源へ、風力発電との共存からひらく未来

  • #地域への貢献
  • #事業プロセス

この事例のポイント

  • 1 有効活用できていなかった「風」を地域の力に変えた国内最大規模の風力発電
  • 2 風力発電の売電収入の一部を基金化し「地域の一次産業支援」に特化して活用
  • 3 つがる市と関係者が「地域の課題解決のパートナー」となり、もみ殻活用とメロンのブランド化を推進

「風」が地域の資源となり、つがる市の新しい風景に

青森県つがる市は、津軽平野に広がる一大農業地帯です。米やリンゴの名産地として有名ですが、つがる市が位置する青森県西部は、年間平均風速が7.0m/秒を超えることから、風力発電による活用が見込める土地としても注目されていました。これを一次産業振興とともに地域の資源として有効活用できるかどうかは、地域にとっても重要なテーマでした。

つがる市は、一次産業の振興を進めることと合わせて、再生可能エネルギーの導入についても検討を進めることとしました。その結果として、2020年に「ウィンドファームつがる」の運転が開始され、青森県の世帯数の約五分の一に相当する規模で発電しています。

地域課題解決に向け、籾殻(もみがら)を資源として活用

つがる市では再エネ事業と農業の課題を結びつけることで、長年の課題解決にも取り組んでいます。つがる市の職員、小寺所長は次のように語ります。

「つがる市は青森県の中でも一番水田面積の多い地域で、古くから稲作で知られてきました。一方、稲作により生まれる稲わらや籾殻の処理は長年の課題でした。稲作農家では稲の収穫後に、それらを家畜の飼料にするなど再利用に取り組んできましたが、全量を処理するのは難しく、課題となっていました。」(つがる市 小寺氏)

この課題解決を目指して、つがる市は、有識者、農家等の関係者を交えて数年にわたり勉強会を開催して、丁寧な話し合いを進める中で、籾殻を原料とした「工事用植生シート」が開発されました。そしてこれを発電施設の施工にも活かすことになりました。

「このシートは、風力発電所の法面(斜面)の保護にも実際に活用され、その実用性が証明されています。農家にとっては捨てていた籾殻が資源となり、将来的に副収入としての可能性にもつながるものと期待されています。」(つがる市 小寺氏)

つがる市 小寺氏

発電の収益を地域の農林水産業へと還元

この風力発電事業については、収益の一部を地域振興に還元する基金制度があります。エネルギー生産や農家の課題解決に加えて、地域の農林水産業を支える仕組みにもつながりました。

例えば、つがる市では、お米やリンゴ、長芋などの農作物が豊富で、特にメロンの栽培も盛んです。このメロンの栽培試験にも基金が活用されています。

「再エネの受け入れは、メリットが多いと感じています。基金は支援が届きにくかった小規模農家への支援、農業のGX・DX推進等に役立てられています。また事業者からのアドバイスは新たな挑戦にも役立っています。収益の減少、資材高騰、少子高齢化による担い手不足等、農業の存続が難しい状況に風力発電の話があがった。地域振興でも地域に根差した活動、アフターフォローがあり、地域の未来を考える仲間が増えた安心感は次のステップの期待につながっています。」(つがる市 小寺氏)

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