埼玉県 所沢市

遊休農地を人びとが行き交うエネルギー地産地消の新名所へ

  • #地域への貢献
  • #事業プロセス

この事例のポイント

  • 1 長年の遊休農地を活用した営農型太陽光発電
  • 2 市と複数の民間企業が一体となり再生可能エネルギー導入を推進
  • 3 ブルーベリー観光農園など観光名所としても人々が訪れる場所に

遊休農地の再生と電力の地産地消

都心から30キロ圏内、武蔵野台地のほぼ中央に位置する埼玉県所沢市(ところざわし)に、農業と太陽光発電が両立する「所沢北岩岡太陽光発電所(西武アグリパーク所沢)」があります。ここで作られた電気は全量市の公共施設に供給され、電力の地産地消と脱炭素に貢献しています。

転機となったのは、2018年。

「市域の再エネ電源を拡大するため、2018年に三菱HCキャピタルグループ(旧日立キャピタルグループ)による再エネ電源導入等調査を実施しました。市は、西武グループが保有する広大な農地における、営農型太陽光発電事業の実施可能性と、事業実施の提案を受け、西武グループなどの関係者と協議を開始しました。本土地は遊休農地であったことから、西武グループとしても活用のきっかけを模索していたこともあり、本土地において営農型太陽光発電を実施する方向で話が進みました。国の補助事業が活用できたことも、事業実現の後押しとなりました。」(所沢市役所 佐藤氏)

西武アグリ 清野氏

行政と民間の思いを一つに、官民連携による事業化へ

2020年には、長期間の営農体制を構築するため、西武アグリという農業法人を新たに西武グループが設立し、本事業の営農事業者として参画。所沢市、三菱HCキャピタルエナジー(旧日立グリーンエナジー)、西武アグリの3社による営農型太陽光発電事業として歩み始めます。

「本事業を開始するまでには、様々な課題がありましたが、本事業について周辺農家や住民へ説明する際には、事業者だけでなく市も積極的に関与することで信頼を得ることができました。また、設備等の安全性について不安を感じている方もいましたが、丁寧な説明を心掛けることで理解を得ることができました。」(所沢市役所 佐藤氏)

2021年5月に稼働した発電所は、農地約1.3ヘクタールに989.04kWの太陽光パネルを設置。営農型太陽光発電により、ブドウとブルーベリーを栽培しながら年間約1,200MWhを発電しており、これは市役所本庁舎の使用電力量の約半分に相当します。

この電気は、ところざわ未来電力を通じて市の公共施設に供給されており、年間約500トンのCO2排出削減効果をもたらすとともに、農地における地域住民の就労機会の創出や、観光施設の開業に伴い、地元企業への業務発注を行うことで地域活性化にも貢献しています。

「“所沢市に、ソーラーパネルの下で育ったブドウがある”と話題になり、所沢駅で販売された所沢産のブドウは、すぐに完売したと聞いています。本事業をきっかけにこうしたニュースが地域に新しい気づきをもたらし、市の魅力の一つに育ってもらったら嬉しく思います。」(所沢市役所 佐藤氏)

エネルギー地産地消の新名所に

官民連携事業として、施設の開所以来、様々な自治体からも視察の要望が相次いでいます。

2026年6月には観光農園「西武アグリパーク所沢」としてグランドオープンを迎え、西武アグリは、「将来的には、農業とエネルギーの地産地消を両立させた所沢市の新名所を目指していきたい」という意気込みのもとで事業を行っています。

「本事業により、再エネと農業、そして観光が組み合わさることで、まちに新しい価値が生まれることを期待しています。」(所沢市役所 佐藤氏)

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