栃木県 那須塩原市

景観と両立する太陽光発電

  • #自然との共生
  • #景観への配慮

この事例のポイント

  • 1 森林を残すソーラー開発
  • 2 自然環境の保全と景観への工夫を両立
  • 3 野生動物との緩衝地帯が生まれる

森林を残した2つの理由

那須塩原駅(なすしおばらし)からクルマで15分、キャンプ場やフィールドアスレチックなどレジャースポットとしても知られる那須が原公園の隣に「那須塩原ソーラー発電所」があります。

“外周に豊かな林を育てる”というコンセプトを掲げるこの施設ができた経緯について、当時自治会長を務めていた槌江さんにお話を伺いました。

「もともとは雑木林でした。傾斜もあまりない土地で造成がしやすく、加えてすぐ近くを高圧線が通っていることから送電の面からもソーラー施設に向いているということで話が進んで行きました。」(元自治会長である槌江農園の槌江氏)

栃木県の「自然環境の保全及び緑化に関する条例」と那須塩原市の「希少野生動植物の保護に関する条例」に基づき、約1年をかけて環境アセスメントを実施。自然環境の保全計画を策定する必要があり、事業者との丁寧なやりとりを重ねていきました。

「残地森林を残さなければいけない、という条例のルールに対しては、一般的に施設の周りを造成して植林するケースが多いと聞きます。ここではオオタカをはじめとする生態系についての考慮と、発電施設がうまく溶け込む景観上の工夫の視点から、事業者と調整し、元の森林をできるだけ残すやり方を選択いただきました。」(槌江農園 槌江氏)

一見発電所だとはわからない?環境の保全と景観への工夫

「この発電所の特徴として、近くを通った際にも、どこにメガソーラーがあるのか、はっきりとは見えないということがあります。生態系維持の観点からもできるだけ既存の森林を残したこともあり、いかにもここに太陽光発電所があります、という見え方にはなっていません。」(槌江農園 槌江氏)

環境アセスメントでは森林に生息する動植物について調査を実施、前出のオオタカを含む保全対象種9種を選定する一方、事業地周辺の森林を4つのゾーンに分けて維持管理しています。樹木の生育の良好なゾーンは、現状を生かしながら倒木の撤去により森林を維持、雑木林回復や雑木林更新のゾーンにおいては、苗木を植栽しコナラを中心とした森林形成を目指しています。

「開発で生じる環境負荷の低減のため、伐採樹木を減らすなどの保全対策を取る事例はありますが、開発後も長期間にわたって、広範囲の森林を維持管理して回復を図り、動植物の生息エリアを守っている。こうした事例は珍しいと思います。」(栃木県庁 江俣氏)

「極端な話、近所に住んでいても発電所があることに気づかない人もいるくらい目立たないですね。光の反射や音のトラブルもなく、苦情はありません。」(槌江農園 槌江氏)

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野生動物との緩衝地帯が生まれ、雑木林は理想の森林へ

敷地の外周部分を含む山地森林は、野生動物の生息域と周辺部を分ける緩衝地帯にもなっており、獣害の可能性を下げることができている、という声も聞こえます。

森林法や栃木県自然環境の保全及び緑化に関する条例にもとづいた丁寧なアセスメントを経た開発・稼働から10年あまりの時を経て、雑木林は人と動植物が適度な距離で共存する理想の森林帯への歩みを一歩ずつ、進めています。

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