この事例のポイント
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発電事業に出資することで行政も主体的に参加
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売電収益を「明日の農業」へ還元
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官民連携から官民共創のまちづくりへ
「自分たちの事業」だと言える理由
熊本県北東部に位置する合志市(こうしし)は、阿蘇山の火山灰が含まれた「黒ボク土」の豊かな土壌に恵まれ、農業と畜産業で知られています。また熊本市に隣接しており、住環境・自然・農業・企業立地がバランスよく、今も人口が増加している活気のあるまちです。
この地における農業振興と再エネ導入をテーマに、2013年1月に合志市と事業者の自然電力は包括連携協定を締結。市の遊休地にメガソーラーを導入し、再エネによる売電収入を地域に還元する仕組みを検討してきました。それが2014年から稼働している、出力約1MWの「合志農業活力プロジェクト太陽光発電所」です。
全国に数ある官民連携の再エネプロジェクトの中でも、合志市のケースでは、行政が深く事業に関与することで住民の納得度を高める工夫を積み重ねながら、地域の意志としての歩みを進めてきた経緯がありました。
「市としても、“単に場所を貸すのではなく、地域に確かな価値を残す事業にしたい”という信念がありました。」(合志市役所)
これを実現化する仕組みが、合志市、地元企業の熊本製粉、発電事業会社の自然電力の3者が対等な立場で出資する合同会社の設立です。行政自ら主体的に関わり「自分たちの事業としてどのような価値を生み出せるか」を共通ゴールに、農業振興と地域活性化について協議した結果、発電事業から得られた収益の一部を集約することで明日の農業をつくる「合志農業活力基金」が生まれました。
再エネでつくる、明日の農業
合志市の農業の未来をつくるための具体策は「守りの農業」、「攻めの農業」と名付けられた2種類の農業振興事業に集約されます。
「守りの農業」では、売電収入のうち、毎年5%を地域の土地改良区に寄付することで、高齢化で維持が困難になった水路保全や地域環境の維持を行っています。
一方の「攻めの農業」では、合志市を含む3者それぞれが、受け取った配当を合志農業活力基金に寄付する形で集約。人材育成事業や農業活性化支援事業、新商品開拓支援事業などを実施してきました。
「基金の具体的な使い道については、3者が毎年一堂に会する総会で、膝を突き合わせて決定しています。」(合志市役所)
10年先を共に見すえる。官民共創のまちづくりへ
地域に確かな価値を残すためには、これらの仕組みによる恩恵が一過性のものではなく次世代へと受け継がれなければなりません。その観点から、再エネの取組と有効活用についても官民が連携することで大きな安心を生んでいます。
この先10年先まで安定的に続く官民共創の取組みこそが、農業の発展と持続可能なまちづくりを可能にします。住みたい街として評価され、高い人口増加率でも知られる合志市だからこそ、エネルギーの安定供給と環境保全のバランスが取れた本事業は、重要であると言えます。
