地域脱炭素とは
地域脱炭素の趣旨とは
2020年10月、我が国は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。また、2021年4月には、2050年カーボンニュートラルと整合的で野心的な目標として、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すこと、さらに、50%の高みに向け挑戦を続けることを表明しました。
これらの目標の達成のためには、国と地方の協働・共創による取組が必要不可欠です。このため、内閣官房長官を議長とする国・地方脱炭素実現会議が設置され、地域が主役となる、地域の魅力と質を向上させる地方創生に資する地域脱炭素の実現を目指し、特に2030年までに集中して行う取組・施策を中心に、工程と具体策を示す「地域脱炭素ロードマップ」(令和3年6月9日国・地方脱炭素実現会議決定)が策定されました。
「地域脱炭素ロードマップ」では、地域脱炭素が、意欲と実現可能性が高いところからその他の地域に広がっていく「実行の脱炭素ドミノ」を起こすべく、2025年までの5年間を集中期間として施策を総動員するとされました。そして2030年以降も全国へと地域脱炭素の取組を広げ、2050年を待たずして多くの地域で脱炭素を達成し、地域課題を解決した強靭で活力ある次の時代の地域社会へと移行することを目指すとされました。
地域脱炭素は、脱炭素を成長の機会と捉える時代の地域の成長戦略であり、自治体・地域企業・市民など地域の関係者が主役になって、今ある技術を使って、再エネ等の地域資源を最大限活用することで実現でき、経済を循環させ、防災や暮らしの質の向上等の地域の課題をあわせて解決し、地方創生に貢献できます。
地域脱炭素が目指すもの
全国の各地域では、少子高齢化に対応し、強み・潜在力を生かした自律的・持続的な社会を目指す地方創生の取組が進んでいます。地域脱炭素の取組も、産業、暮らし、交通、公共等のあらゆる分野で、地域の強みを生かして地方創生に寄与するように進めることが重要です。
そのためには、特に地域における再生可能エネルギー(以下「再エネ」という。)の導入拡大が鍵となります。2018年時点で約9割の市町村のエネルギー収支が赤字となっている中(※)、地域の企業や地方公共団体が中心になって、地域の雇用や資本を活用しつつ、地域資源である豊富な再エネポテンシャルを有効利用することは、地域の経済収支の改善につながることが期待できます。
※我が国のエネルギー原料の輸入額は2021年度の1年間で約14兆円にのぼります。環境省において2018年度の市町村別のエネルギー代金の域内外収支を産業連関表等を用いて算出したところ、約9割の市町村で域外への支出が上回っています。
また、地元の自然資源を生かして食料・木材等を賄うことは、輸送にかかるCO2を減らすとともに、地域産業を支えることにつながります。地域資源を生かし、「消費する地域」から「生みだす地域」に移行し、その収益を地域内で再投資することで、新たな産業と雇用を生み、地域内で経済を循環させることができます。