海ワシ調査の世界へようこそ!

2022/02/03

皆さんこんにちは!今回は知床国立公園で行われている海ワシ類を数える「カウント調査」についてお伝えしていこうと思います!

そもそも、「海ワシとはなんぞや?」とお思いの方!
ここで海ワシとは、オオワシとオジロワシのことを指します!(※)
空を飛ぶ姿はとてもかっこいいですよね。
※海ワシは、餌の多くを海に依存し海岸付近でよく見られるワシの仲間(sea-eagles)で、海外も含めるとウミワシ属(Haliaeetus)に分類されるものは8種います。
知床ではこの内、越冬のために渡ってくるオオワシと、国内でも一部繁殖しているオジロワシの2種をよく見ることができます。

次に「なぜワシの数を数えているの?」と思われた方、これには理由が2つあります!
1つ目は、オオワシとオジロワシは、どちらも生息地が減少したり生息数が減っている等の理由から絶滅のおそれがある種(絶滅危惧種)であり、①主にどこに集まっているのか(餌環境など)、②羽数に大きな変化はないか(特に急激な減少)を把握するため。
2つ目は、世界自然遺産に登録されている知床には、豊かな自然環境が維持されていることを把握するミッションが与えられています。その一環として、知床の生態系の上位にいる海ワシ類を対象に長期的にモニタリングを行うことで、渡来数や種・成幼の別など構成の変化も参考に環境の変化を把握するため。
そんなわけで冬になると毎週、海ワシ類の調査を行っています。

では、どのように調査を行っているか手順・方法をご紹介します。
知床国立公園では、斜里町(ウトロ)側と羅臼町側で、それぞれ調査を行っています。
私の担当するウトロ側の調査コースは、っぷどまり漁港からスタートして、途中何カ所か止まりながらゴールの岩尾別川を目指します。
およそ25kmの道のりを、車を運転する人、調査する人の2名以上で、低速(20~40km/h)で移動しながら、目視で(つまり目で見て)海ワシがいないか探します。

海ワシを発見したら、以下の項目を記録簿に記入していきます。
・発見時間
・オオワシか、オジロワシか
・成鳥か、幼鳥か
・それぞれの個体数
・飛んでいるか、どこに止まっているか(どんな行動をしているかも)

記入している間にも、次から次へと海ワシたちがやってきて手が大忙しになることも。
飛んでいた場合、移動方向も矢印で記入するのですが、地図が苦手だとこれまた大変難しい。

苦労することもありますが、調査中に思わぬ発見もあったりします!

遠目だと「タヌキかな?」と思い、双眼鏡をのぞくとオジロワシでした!
海岸の砂地にちょこんと居る姿に癒やされました。

エサを貪るオジロワシ。
目の前で見るとかなりの大きさで、図鑑で見るのとは迫力が違う!
生で見る良さを実感しました。

海ワシ調査はまだまだ始まったばかり。流氷がやってきてからが本番で、例年だと一日に100羽以上を数える日もあります!

それでは最後になりますが、ただいま知床世界遺産センターでは、この調査を取りまとめたものも含めて「海ワシ展」を開催しております。
4月8日(金)までを予定しておりますので、ぜひお立ち寄りください!

佐野