7月15~20日 知床半島周回シーカヤック
2025/08/01
2025年7月15日~20日にかけて、シーカヤックで知床半島を周回するガイドツアーに参加しました。
知床半島のシンボルである知床連山をはじめ、火山活動や流氷の接岸によって形成された特徴的な地形、奇岩等を臨みながら漕ぐカヤックはまさに大冒険でした。
その一方で、長期間かつ時には低温となる北の海を漕ぐためには入念な準備とカヤックを操船する技術、知床の気象特性や海況の知識、適切な判断力が求められます。
一部ではありますが、その記録を皆様にご紹介させていただきます。
今回は気象条件や海況を鑑み、斜里町ウトロから出発し、ゴール地点である羅臼町相泊を目指します。
当初の計画では羅臼町相泊を出発し、知床半島を反時計回りで周回する予定でしたが、低気圧の影響による南風が強く、羅臼側の海況が悪かったために初日は停滞とし、翌日、比較的海が穏やかな斜里町ウトロから出発、知床半島を時計回りすることとなりました。


海上では漁船や観光船等の航行が盛んなため、衝突事故を防ぐとともに、海は地域にとっての産業や生活の場であるという認識と配慮が求められます。
複数艇で航行するカヤックツアーの場合、前後に広がらずに固まって漕ぐこと、落石や危険な暗礁に注意しながら岸近くの陸寄りを漕ぐことを意識しながら行程を進めます。

知床半島の雄大な景色を眺めながら漕ぐカヤックは特別な時間であり、原生的な自然やそのスケール感に改めて圧倒されます。
また、海岸線をトレッキングする際に見る風景とも観光船から見る景色とも違い、カヤックならではの目線で見る眺めは新鮮かつ非常に贅沢なひと時でした。


長期間の行程となるため、複数の地点で休憩や野営をする必要がありますが、上陸する際も気が抜けません。
特にウトロ側は断崖絶壁が続いており上陸場所も限られているため、休憩地点や野営場所はあらかじめ地形図で確認する必要があります。
また、知床はヒグマの高密度生息地であるため、野営する際はクマスプレーやフードコンテナをはじめとしたヒグマ対策装備を持参する必要があります。
これから活発となるサケ・マスの遡上時期(8~11月)には、ヒグマが魚を求めて河口に頻繁に出没するため、川から十分に離れた場所での野営が肝要です。

ゴール地点である羅臼町相泊が近づくにつれ、名残惜しい気持ちと共に、自分自身の手でカヤックを漕いで周回したという達成感が込み上げてきます。
幸い、今回のツアーでは強風や低温等の事態には見舞われず順調にゴールすることができましたが、刻一刻と変化する気象と海況、エスケープルートのないフィールドの中でより厳しい状況となった際、真価が問われると感じました。

知床でシーカヤックを漕ぐ際は、利用のルールや注意事項など、
知床半島先端部地区利用の心得webサイト SHIRECOCO(シレココ)で必ずご確認ください。
知床半島先端部地区利用の心得WEBサイト
渡部憲和