7月10~12日 知床岬海岸線トレッキング
2025/07/20
2025年7月10日~12日の2泊3日で知床岬海岸線トレッキング巡視を実施しました。手つかずの自然が残る世界自然遺産・知床半島先端部地区です。羅臼町相泊橋から知床岬は往復40kmほどの長い道のりです。
歩行距離:1日目15.9㎞,2日目11.9km,3日目15.8km。
※GPS情報より抽出(基本的にバリエーションルートのため、人により距離は変わります。)

知床岬海岸線トレッキングは、多くの経験と知識が必要です。整備された登山道とは異なり、自然の地形をそのまま進むので、何が起こるか分かりません。

知床の海岸線は、岩場やゴロゴロした石が多いため、足元がとても不安定です。こういう場所では、転んだり滑り落ちたりする危険がいつも潜んでいるため、しっかりとしたトレッキングシューズを履き、慎重に歩くことが求められます。また、潮の満ち引きで海岸線の道が変わったり、一部水に浸かってしまうこともあるため、潮位表をチェックし、それに合わせて計画を立てることが必要です。
さらに、知床の天候は予測が難しく、急な突風や濃霧・霧雨が発生します。事前に天気予報を確認し、天気が悪くなりそうなら無理せず、計画を変更または中止する判断が求められます。

そして、知床岬までの道のりにはいくつか難所があり、下の写真のように、厳しい登攀が求められます。

場所によっては、巨岩が行く手を阻みます。

岩肌を掴んで横移動しながら、先へ進む場所もあり、下に落ちれば海へポッチャンです。

登攀だけではありません。ここは念仏岩。
降りもあり、ハーネスや下降器を用いて懸垂下降します(30m以上のクライミングロープ推奨)。

斜面が緩くても、足場が滑りやすく掴むところない場所も。
そんな時にも持参したロープを使用します。

知床半島先端部地区の羅臼町側は、電波もなく、助けが来にくい場所のため、訪れる人自身の安全は、自分で守るのが基本です。食料、水、燃料、防寒具、雨具など、どんな状況にも対応できる十分な物資を持って行く必要があります。特に、天気が悪くて動けなくなったり、予期せぬことが起こったりするのに備えましょう。

知床半島先端部地区に入域する前に!
知床世界遺産ルサフィールドハウスや知床羅臼ビジターセンターで、知床の自然やルール、最新情報についてのレクチャーを受けましょう。このブログではお伝えしきれない情報をお伝えします。知床ならではの危険や知床半島先端部地区利用の心得を理解するための大切なステップです。また、登山計画書の提出も忘れず。

ヒグマに遭遇してしまうかもしれない場所!
知床半島は、ヒグマが多く生息している場所であり、トレッキング中にヒグマと遭遇する可能性があります。先が見えない場所では積極的に音出しを行いましょう。それでもヒグマと遭遇してしまった場合は、急に走ったり、大声を出したりせず、ヒグマを興奮させないようにゆっくり距離を開けてください。万が一のことに備え、ヒグマ撃退スプレーやフードコンテナの携帯を推奨します。
また、トドやクジラ等の漂着物やエゾシカの死体は、ヒグマを誘引します。
そういった場所にはヒグマが近くにいるかもしれません。見つけたらすぐにその場を離れましょう。
見つけたお花:
イワベンケイ、エゾカワラナデシコ、エゾネギ、エゾノカワラマツバ、エゾノキリンソウ、オドリコソウ、キバナノカワラマツバ、クサフジ、シコタンハコベ、シロヨモギ、トウゲブキ、ナミキソウ、ハマエンドウ、ハマナス、ヒメスイバ、マルバトウキ、ヨツバヒヨドリ ※50音順

知床岬へトレッキングしたい方は、利用のルールや注意事項など、
知床半島先端部地区利用の心得webサイト SHIRECOCO(シレココ)で必ずご確認ください。
知床半島先端部地区利用の心得WEBサイト
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