羅臼の白夜
2023/10/11
いよいよ秋も深まり、羅臼の前浜が漁火で明るく照らされる季節がやってきました。
ここでいう漁火とはイカ釣り漁船の照明のことで、
光を嫌うスルメイカたちが船影に隠れたところを釣り上げるために、
明け方まで強い光で海を照らしています。
10月上旬の時点で羅臼前浜にはイカ釣り漁船が10隻弱。
これだけでもとても明るいのですが、
羅臼前浜ではかつて100隻を優に超えるイカ釣り漁船が操業していました。
その船のほとんどは「外来船」と呼ばれる羅臼町外から来た漁船で、
道内では函館市や江差町、道外では青森県、山形県、長崎県などからはるばる羅臼のスルメイカを求めて来ていたのです。
その漁火の威力たるや「知床峠から車で降りてきた人の目が眩んで事故が起こる」とまで言われ、
山の向こうのウトロから光の柱が立ち上るように見えた程でした。
午後15時になるとイカ釣り漁船が一斉に出航します。
腹の底まで震わせる100隻分のエンジン音を響かせて、港を出ていく姿は正に圧巻でした。
羅臼港に、またあの賑わいが戻る日が来るのを願わずにはいられません。
知床財団 みやこし