知床岬を目指して

2023/07/24

今年度も知床半島先端部地区・知床岬海岸トレッキング巡視を6月21~23日の日程で実施しました。
環境省羅臼自然保護官事務所では毎年この時期、相泊から知床岬までの海岸線を往復43㎞歩いて危険箇所や利用状況、自然情報の取集を行っています。

知床岬へ向かうには複数箇所に点在する “難所” いわば危険箇所を攻略していかなければなりません。
また、登山道のように整備された道はなく石浜を歩かなければなりません。
15㎏以上の装備を背負っての歩行による体への負担は大きなものになります。

写真は難所の一つであるトッカリ瀬の様子です。
干潮のタイミングで通過したため、このように通過しやすくなっていますが、
潮が満ちている際は岩礁が見えず、波が押し寄せるため通過が困難になります。
過去にはトッカリ瀬で2件の死亡事故が発生しています。
潮位表などを事前に確認し海の情報も含めた計画が必要です。
潮位については気象庁のウェブサイト等で確認することができます。

また、難所となるのは岩礁帯だけではありません。
写真のようにロープを使用し急登する場所が複数箇所あり、
こうした難所を乗り越えるための装備はもちろん、知識や経験、体力が必要になります。

そして、忘れてはいけないのが知床はヒグマが高密度に生息する地域だということです。
未然に危険を回避するためにヒグマと遭遇しないように声を出して自分の位置を知らせること。
ただし、過度にヒグマを刺激することはしない。
臭いの出る食べ物は極力控えること、フードコンテナを適切に使用するといったような
行動や実際に遭遇してしまった際には冷静な対応が必要となります。

そういった難所を超えた人のみが、見ることができる美しい景色が知床岬にはあります。

当然ですが事故のリスクは低くはありません。
しかし、知床岬に歩いて行くことでしか味わえない達成感や感動は計り知れません。

先端部地区の利用については、知床世界遺産ルサフィールドハウスで難所の情報やヒグマ対策などのレクチャーを受けることができますので必ずお立ちより下さい。
最新の情報を取得することができます。

また、先端部地区の利用についてはルールが定められています。
利用をお考えの方は「知床半島先端部利用の心得(シレココ)」をご確認頂くようお願いします。

●留意事項

令和5年6月28日(水)17時頃、
知床岬の台地上の草原(羅臼町側)におきまして、エゾシカ捕獲に従事していた作業員1名がヒグマに襲われ、負傷する事故が発生しました。

知床岬を利用する際には、以下の事項に留意してください。

  • 知床岬では頻繁にヒグマが確認されていること。
  • 草丈が成人の肩を越えていて見通しが効かない地域があり、人とヒグマがお互いに気がつかない状況で接近し、至近距離で遭遇する危険性があること。

知床半島の先端部のヒグマ対策については、下記もご参照ください。

環境省羅臼自然保護官事務所

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