Ordinary miracle
2023/06/19
羅臼で生活していると、大なり小なり驚きの場面に出くわすことがあります。
例えば、春に生まれたオタマジャクシが秋になってもオタマジャクシのままな沼地があったり、
顎が外れそうなほど大きなゴッコ(魚)をくわえたキタキツネがすまし顔で目の前を横切ったり。
オジロワシに鷲掴みされた重そうなミズダコが振り子の様に揺られながら上空を運ばれていたり・・・。
ときどきクジラが打ち寄せられることも。
初夏に覗いた川の中にサケ・マスの稚魚が所狭しと泳いでいる姿も。
それは日常のひとかけら。
海獣が打ち上れば、それは今日を生きる動物たちの貴重な栄養源になります。
サケ・マスの稚魚がたくさん海に下れば、
それは数年後、羅臼で漁をする人々のかけがえのない資源となり、
川に遡上するサケ・マスは夏を乗り越え、寒い冬に備えるヒグマのご馳走になります。
それはこの地に住む人間と動物にとっては当たり前の日常。
しかし、かけがえのない日常です。
この海と陸との繋がりこそ、羅臼が魅力的である理由なのではないでしょうか。
知床財団 みやこし