知床の森と川をたどる「羅臼温泉園地歩道」
2026年7月17日
「羅臼温泉園地歩道」は、知床国立公園の入り口にあたる湯ノ沢地区にあります。
湯ノ沢側の入り口から熊の湯まで、距離は片道約1.3km、所要時間は往復約70分。
森の中を抜け、羅臼川を眺め、アップダウンのある道を越えた先には熊の湯温泉が待っています。
距離だけを見れば短いコースですが、後半には急な階段や足場の不安定な場所もあります。
気軽な散策路というよりも、短い時間の中で知床らしい自然と地形の変化を味わえる、中級者向けのコースです。

園地歩道入り口から羅臼川が見えるまでの約400mには、木道が整備されています。
木道の周囲を覆うのは、大きく葉を広げたクサソテツです。
緑の中をまっすぐ延びる木道には、ヒグマよりも恐竜が現れそうな、どこか太古の森を思わせる雰囲気があります。

早朝は、野鳥の声が森と川の間に響きます。
季節や天気にもよりますが、ミソサザイ、アカゲラ、ヤマセミ、カワセミ、イソシギ、マガモ、アマツバメ、イワツバメ、
キビタキ、アオジ、ゴジュウカラ、ヒガラ、シジュウカラ、カワガラスなどが見られることがあり、園地歩道は野鳥観察にも適した場所です。
姿が見えなくても、少し立ち止まって耳を澄ませてみると、木々の間や川辺からさまざまな声が聞こえてきます。
木道が終わり階段を上ると、少しずつ視界が開けて川の向こうに知床羅臼ビジターセンターが見えてきます。
歩道入り口からこの地点までは比較的歩きやすく、スニーカーでも行くことができます。
本格的な装備を持っていない方や時間が限られている方は、ここまで歩いて引き返すだけでも知床の森の空気を楽しめます。

知床羅臼ビジターセンターが見える場所を過ぎると、歩道の表情が大きく変わります。
羅臼川のダム脇から熊の湯までは、激しいアップダウンのある歩道や階段が続きます。
足元には、鋼材を格子状に溶接した「グレーチング」のブロックが並ぶ区間も多くあります。


木道までの穏やかな雰囲気とは異なり、ここからは足元に注意が必要です。
滑りやすい場所や不安定な場所もあるため、トレッキングシューズまたは長靴の使用をおすすめします。
グレーチングの中には、踏むとぐらぐらと動くものもあります。危険だと感じた場合は無理にその上を歩かず、
周囲の安全を確認したうえで地面を歩いてください。
起伏のある道を越えた先のゴールが、羅臼を代表する温泉のひとつ「熊の湯」です。
お風呂道具を背負って歩けば、森の中でかいた汗を熊の湯で流すことができます。
歩いた先に温泉があるというのも、この園地歩道ならではの楽しみです。

◆利用する際の注意事項
羅臼温泉園地歩道は、ヒグマの生息地にあります。距離の短いコースであっても、十分な備えが必要です。
利用前には、知床羅臼ビジターセンターで最新のヒグマ出没状況を確認してください。
歩行中は、次の点を心がけてください。
・周囲によく目を配る
・声を出す、手をたたく、クマ鈴を鳴らすなどして、人間の存在を知らせる
・クマスプレーを携行し、すぐに使える場所に装着する
また、園地歩道は雪崩や道迷いの危険があるため、冬期は閉鎖されています。
利用できる時期や歩道の状況については、事前に知床羅臼ビジターセンターへご確認ください。
◆利用案内
距離:湯ノ沢側入り口から熊の湯まで片道約1.3km
所要時間:往復約70分
駐車場:湯ノ沢駐車場または熊の湯駐車場(無料)
推奨装備:木道付近まではスニーカーでも可。木道より先はトレッキングシューズまたは長靴を推奨
冬期:閉鎖
湯ノ沢側から熊の湯まで歩き、同じ道を戻る場合は、往復約2.6kmとなります。時間と体力に余裕を持ってご利用ください。
羅臼温泉園地歩道は、木道、深い森、羅臼川、野鳥、起伏のある歩道、そして温泉まで、短い距離の中にさまざまな魅力が詰まったコースです。
知床の自然を身近に感じられる一方、野生動物が暮らす場所を歩くコースでもあります。必要な装備と安全対策を整え、無理のない計画でお楽しみください。
みやこし