羅臼の川
2024年9月11日
知床半島の東岸に位置する羅臼町には40本近くの河川があります。
これらの河川は1500m級の急峻な山々が水源となっており、ほとんどの河川が渓流の様相を呈したまま海に注いでいます。
先端部付近には深い渓谷を形成している河川も多く、豊富な水量の澄んだ水が海岸の崖から滝となって海に注ぐ雄大で迫力ある景観も知床の魅力です。
知床の短い夏の間、羅臼の川の主役は、オショロコマ、ヤマメ、イトヨ、カンキョウカジカ、ミミズハゼなどの魚類で、
初秋を迎えたこれからの季節、羅臼の川の主役は主役はカラフトマスやシロザケに変わります。
9月にはカラフトマス、10月にはシロザケが産卵のために河川を遡上し、羅臼の川はより一層賑やかさを増します。
それらサケ科魚類を、オジロワシやシマフクロウなどの希少な鳥類やヒグマが捕食するという、
海と山が一体となった豊かな生態系も知床の特徴のひとつです。
しかし、ここ数年、知床の河川では、サケ科魚類の遡上数が著しく減少しており、かつてのような賑やかさが失われています。
遡上数減少の原因は解明されていませんが、地球温暖化による海水温上昇が関係しているのではないかという話しもあります。
町を流れる主要な河川の周りで、昔から人々が生活を営んできました。
羅臼町の中心には羅臼川が流れており、四季折々の姿を日常で感じることができます。
一部の河川では、外来魚であるニジマスの導入・増加によって、競合する在来種への悪影響が懸念されています。
古くからの、山と海と動物と人を繋ぐ、川のあるべき美しい姿を、いつまでも保っていきたいものです。
釣りなどで羅臼の河川を利用する場合は、ヒグマの生息地であることを認識し、十分な対策をとる必要があります。
ヒグマと出会わないようにするため、声や熊鈴で音を出し自分の存在を知らせる等の対策は怠らないようにし、万が一に備えクマスプレーを携行しましょう。
野生動物にとって、オショロコマは重要なエサ資源です。
知床の自然を守るために、キャッチアンドリリースにご協力をお願いします。
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