アメリカオニアザミ駆除を行いました

2024年6月8日

先日、環境省、羅臼町役場、知床財団で、
知床羅臼ビジターセンター、羅臼研究支援センター、羅臼町老人福祉センター福寿園周辺のアメリカオニアザミ駆除を行いました。

スコップとバケツ
羅臼ビジターセンター斜面での駆除

ヨーロッパ原産のアメリカオニアザミは1960年代に北海道で確認され、
現在は九州を除く全国各地に分布している侵略的外来種です。
北海道には輸入穀物や牧草に混入し、北アメリカから侵入したとされています。

鋭いトゲがあるためシカの食害を受けにくく、
知床国立公園内では増加傾向にあります。
7 月から10月にかけて花をつけ綿毛を飛ばし種を拡散するため、
花をつける前の6月に駆除を行うことが効果的です。

アメリカオニアザミ

今の時期は写真のように花をつけずに葉だけですが、
色も形もかなり特徴的なため容易に見分けることができます。
ただし、在来のアザミと間違えないよう駆除するときは注意が必要です。


他の植物に紛れるアメリカオニアザミ

他の植物と紛れてもご覧の通り、一目瞭然です。
アメリカオニアザミを見つけたら、後から再生しないようにスコップで根から掘り起こしていきます。


スコップとアメリカオニアザミの大きさ比較

こんなにも大きくなります。


腰くらいの高さまで伸びたアメリカオニアザミを掘り起こす人

中には腰くらいの高さまで生長した、大型の個体もありました。これもせっせと掘り起こします。


アメリカオニアザミ駆除後の地面

スッキリしました。


トラックの荷台いっぱいのアメリカオニアザミ

計3箇所で駆除を行ったのですが、トラックの荷台いっぱいになりました。
これだけ駆除しても来年にはまたワッサワッサと生えてきて賽の河原を彷彿とさせますが、
だからといって放っておくとアメリカオニアザミはどんどん勢力を広げるため、
こちらも駆除を怠るわけにはいきません。
アメリカオニアザミに負けないよう、これからも根気強く続けていきます。


アメリカオニアザミの根

余談ですが、駆除作業中にアメリカオニアザミの根を見て「食べられそうだな・・・・・・」と思って後で調べると、
可食部は少ないものの根と蕾は本当に食べられるようです。
※推奨はしておりません。

○外来種被害予防三原則
現在日本の野外に生息している外国起源の生物の数は分かっているだけで約2,000種。
その中には、在来種の生息場所を奪ったり在来種を捕食したりして、生態系に重大な影響を及ぼす可能性がある生物もいます。
そうした被害を防ぐためには、悪影響を及ぼすおそれのある外来種を
「入れない」「捨てない(逃がさない、放さない)」「拡げない(増やさない)」の三原則を守ることが大切です。

侵略的外来種の初期対応の必要性は、火災における初期消火の重要性に喩えられます。
燃え始めは少ない労力で消火でき被害も小さくて済みますが、
燃え広がるにつれて消火は急速に困難になり被害も加速度的に大きくなります。
火災では「火の用心・初期消火」が重要なように、外来種対策でも「早期発見・早期防除」が重要です。

詳しくは下記URLを参照してください。
日本の外来種対策
外来種被害予防三原則

知床財団 華学