春のオオセグロカモメ

2024年3月28日

‘季節の変わり目を報せるもの’ 羅臼では鳥の鳴き声もその一つです。
身近なところでは、去年の秋からしばらく目にしなかったスズメやハクセキレイでしょうか。

3月中旬(早い時では上旬に)民家の屋根の上で、
子育ての準備をするオオセグロカモメのつがいが、
夜も明けきらないうちから騒ぎ出します。

すぐ下の部屋ではまだ人がスヤスヤと眠っていることなどお構いなしで、
縄ばり争いなのか、夫婦の鳴き交わしなのか、甲高い声が耳に障ります。

4月から新たに羅臼へ移り住んだ人たちは、もれなく、この早朝の洗礼に遭うことでしょう。
また、白い糞が空から降ってきて、衣服や車を汚すこともあります。
海岸沿いや住宅地では、餌をめぐってカラスと争っている姿を目にすることもよくあります。

ウニを食べるオオセグロカモメ
春先の残った流氷の上にのるオオセグロカモメ

本州の東北地方よりも南で越冬したオオセグロカモメは、
春になるとより、北へ渡って繁殖しますが、
北海道では産卵・子育てを含め、一年を通して見ることができます。

オオセグロカモメの巣は本来、海岸の崖の岩棚などに作られますが、
羅臼では、民家や施設の屋根などを多く利用します。

また近年、海から少し離れた札幌でも、
街中の環境をうまく利用して繁殖しているようです。

自然界では、オジロワシ、ヒグマやキタキツネなどに卵や雛が食べられてしまう事もあり、
羅臼や札幌では、そういったリスクを避け、また餌場が近くにあるといった理由から、
市街地の建物で営巣しているのだろうと思います

賢くたくましいオオセグロカモメですが、時として、人間の厄介者になってしまうのが切ないものです。

民家の屋根でくつろぐオオセグロカモメ

知床財団 いしい