愛おしきマッコウクジラがやってきた!

2023年08月28日

8月に入り根室海峡沖でマッコウクジラが観察されるようになりました。
ハクジラ類最大級のクジラです。歯を持つ動物では世界で一番大きいのです。
そんなクジラが羅臼で見れるなんて、すごいことだと思いませんか?

マッコウクジラの生態は特殊な点がいくつかありますが、
深海に生息しているため調査が難しく未だ謎の多い生き物です。
現在分かっていることをいくつかご紹介したいと思います。

深海への行き来は、大きな頭の中にある重さ2.5トンもの脳油を上手に使いこなすのです。
潜水する時は海水を吸い込むことで、脳油を冷やし固めておもりにし垂直に沈みます。
浮上してくる時は、固まった脳油を温めて液体化させるそうです。

一度潜ると1時間近く浮上せず、海面に浮上すると今度は10分間ほど呼吸をします。
この時、ブローと呼ばれるしぶきが斜め45度に吹き上がるのが特徴です。

そして、「龍涎香」と呼ばれる結石を腸で出来るもので、
これは非常に香しく高級香水の材料になります。

稀に自然排出されて海岸に漂着するそうです。
結石の元は、消化されなかった餌の「イカ」であり、
一体どんな酵素を持っているんでしょう。。。

メスと子どもの群れは赤道近くの暖かい海域に生息し、
オスだけがエサを求めて寒い海域を回遊します。
時々南に戻って交尾をし再度餌を求めて回遊すると言われています。
家族の結びつきが強く、コミュニケーション能力も長けているクジラたちが、
どんな会話をているのか科学が進歩して分かったら面白いでしょうね!

マッコウクジラは例年9月末まで見れます。
ぜひ、羅臼に会いに来てくださいね!

知床財団 中村