7/26 羅臼岳羅臼温泉コース巡視

2022年8月3日

7月26日羅臼岳羅臼温泉コースの巡視を実施しました。

・羅臼岳は標高1,661m。羅臼温泉コースは距離(片道)約7km、標高差約1,500mの上級者向けコースです。
・道迷いや、日没後の下山等の事例が過去に何度も発生しています。
・記録は、巡視実施時点での情報です。出発前にビジターセンターで最新の情報を入手し、ヒグマ対策などの装備を整え、夏季でも防寒着、ヘッドランプを持参してください。

まずは計画書作成。朝5時出発でいいか。いや、甘いか。

このコースは登りで体力を使い切り、下山時には疲労でヨタヨタ、登りと下りの時間がほとんど変わらないという話がよくある。
念には念を、前倒しで4時半スタートとする。

今冬は雪が多かったため、登山道上への倒木や土砂の流入が目立つ。
トラバースするように延びる第一の壁付近のルートは小さな落石も多い。
関係機関で登山道整備を実施しているため、注意喚起の看板をよく見て利用する。

川の渡渉は、降雨後には増水し危険を伴うこともあるため、状況に応じて行動する。

泊場付近の川は硫黄成分が含まれているため飲用せず、山頂向かって右手の斜面から湧き出ている水を利用する(浄水を推奨)。

泊場から少し進むと、距離はわずかだが例年雪の残りやすい急斜面がある。目印となるピンクテープが貼ってあるのでこれを丹念にたどり通過。
さらに進んだ屏風岩入口では、看板は雪から顔を出して間もない。付近の雪渓には大きな割れ目があるため迂闊に歩くと落ちる。

山頂に向かって沢型地形の、右側にヒグマを確認。暫く待機し、様子をうかがう。
人の存在に気付いているが、草を食べながらゆっくり移動している。

クマスプレーを片手に構え、少しずつ声掛けしながら沢の左側にある登山道を速やかに通過。
このコース上もっともしんどい急傾斜エリアで、休憩なく急ぎ足で登る羽目になるとは…。

屏風岩の斜面後半からお花畑分岐へ至る登山道は、ガスで視界の悪い時は目印のペイントを見落とさないよう注意。
岩清水直登コースには今も溶けずに雪渓が広がっている。

スタッフ(♂)「雪は緩んでいるし四つん這いで行けないかな」。
斜面に手持ちの小道具?を刺しながらトライしたものの、結論「やっぱりアイゼンのほうがいい」。

雪は柔らかいことも、固いこともある。どんな状況でも対応できるよう、アイゼン持参が望ましい。
雪渓には誘導ロープが設置されている。雪を避けて周囲の植生の上を歩かずに、ロープに沿って歩こう。

岩清水に出ると、ウトロ側岩尾別コースと合流し、急に賑わいを得る。
ここから山頂までは、岩・岩・岩。両手足をしっかり使って、転げ落ちないように。

山頂まで、登りと下りで道の譲り合い。声を掛け合いながら、登頂。
次々とガスが立ちのぼり、360度の視界は望めないものの心地よい風に吹かれ休憩。

さて、このあと同じだけ下りの道が待っている。

下山時はヒザを痛める人が多い。
また、登山道下部は樹林帯のため、日没時間にならずとも薄暗い。

羅臼温泉コースの利用は、長時間行動できる体力、時期によっては急斜面の雪渓を登る技術が求められます。
利用の前に必ずビジターセンターで情報を入手してください。

知床財団 イナバ