シマフクロウとの共存ルール

シマフクロウとの共存ルール

シマフクロウは絶滅危惧種で、国の保護対象種です。
生息環境の悪化により20世紀の後半には絶滅寸前まで生息数が減りましたが、
環境省や保護関係者、関係機関による数十年の地道な保護活動により、生息数が少しずつ回復してきています。
ただし、まだまだ絶滅の恐れがなくなったとは言えない状況にあり、
生息環境の保全や再生のため取組を続けていく必要があります。
また、野生個体の観察を推奨できる状態にはありません。

シマフクロウへの人のむやみな接近や、その繁殖地付近への人のむやみな立ち入りにより、
シマフクロウの採餌や繁殖が妨害される事例が確認されています。
人間の行動によりシマフクロウの生息環境が悪化しないよう、次のルールを守ってください。

おどかさないよう、
そっと離れてください

おどかさないよう、そっと離れてください

  • ●シマフクロウを見つけたときには、大声を出したり近づいたりせず、シマフクロウの生活を邪魔しないでください。
  • ●長時間観察せずにそっと離れてください。

    観察や撮影行為は鳥にストレスを与える行為です。長時間観察を続けたり、個体が逃げないからといって観察を続けたりすることはやめてください。

    シマフクロウが逃げなかったとしても、あなたがいる間ずっと警戒して緊張しているかもしれません。シマフクロウが逃げないからその場にとどまっても良い、ということはありません。

光をあてないでください

光をあてないでください

  • フラッシュを使った撮影をしたり、サーチライトやその他の光源で照らしたりしないでください。

    夜行性のシマフクロウにフラッシュを浴びせたりサーチライトなどで照らしたりすることは、彼らの視力に影響を及ぼしたりストレスを与えたりするおそれがあります。

巣やヒナ、
幼鳥には近づかないでください

巣やヒナ、幼鳥には近づかないでください

  • ●繁殖を妨害する可能性がありますので、巣を探すことや、巣のある木の周辺には近づかないでください。

    個体数が少なく繁殖成功率が低いので、ひとつがいの1回の繁殖が成功するかどうかが非常に重要です。親鳥にストレスを与えてしまうと営巣、産卵、抱卵、育雛など繁殖活動を中止することにつながりかねないため、特に繁殖期には細心の注意が必要です。

    巣やヒナ、幼鳥に近づいて写真を撮ることはやめてください。

    ヒナや幼鳥はまだ飛べないので、キタキツネやエゾクロテンなどの天敵に襲われないよう、親鳥が近くで見守っています。人間が近づいて親鳥が遠くへ逃げてしまうと、再び親鳥が戻ってくるまでにヒナや幼鳥が天敵に捕食されてしまう可能性があります。また、人間の匂いが、それらの天敵を呼び寄せる可能性もあると言われています。ヒナや幼鳥の写真を撮るために人間が巣に近づくことで、そのヒナや幼鳥の生存を脅かすことになります。

  • ●巣やヒナ、幼鳥を偶然見つけてしまった場合は、すぐにその場から離れてください。

目撃地点の情報や、巣やヒナ、
幼鳥の場所を拡散しないでください

目撃地点の情報や、巣やヒナ、幼鳥の場所を拡散しないでください

  • ●幼鳥や巣にいる個体の写真を公開することはやめてください。
  • ●「ここの森でシマフクロウを見たよ︕」といった生息情報や、目撃地点や営巣地点の推測が可能な写真、位置情報データのついた写真を、SNS やブログなどで公開しないでください。

    生息情報がインターネットなどで拡散されると、繁殖期にカメラマンや観察者が巣に近づくなどのシマフクロウの繁殖や採餌を阻害する行為の誘発に繋がります。

餌付けしないでください

餌付けしないでください

  • ●自然状態での種の存続を妨げるため、餌付けはやめてください。

    餌付けは給餌と異なる行為です。保護増殖事業で実施している給餌事業は、保護増殖事業計画における給餌の考え方に則り、対象個体のおかれている状況、給餌により達成すべき目標や想定される影響を踏まえ、必要最小限の期間及び量に限って行っています。

    たとえ自然界に十分餌があっても、楽に獲れる餌に依存してしまいます。

    幼鳥が自然界で餌を捕る能力が養われず、生存率が低下するおそれがあります。

    天敵(キタキツネ、エゾクロテンなど)を誘引し、シマフクロウに危害を与える可能性があります。

    シマフクロウの人慣れを引き起こし、人間活動に近づくことで、事故に遭う可能性が高まります。

    一部、観光事業者が行っている『餌付け』は環境省が了承したものではなく、上述したようにシマフクロウの生態や種の存続に悪影響を及ぼす問題行為として捉えています。

巣箱を設置しないでください

巣箱を設置しないでください

  • ●勝手な巣箱設置は、天敵による捕食などの思わぬ事故を招き、かえってシマフクロウの生息に悪影響を与える可能性がありますので、やめてください。

    環境省の保護増殖事業においては、専門家による助言のもと、道内でのシマフクロウ分布や巣箱の全体配置に鑑み計画的に実施しているほか、科学的知見や蓄積された経験に基づく手法により巣箱を数十年にわたり設置・管理しています。

環境省や関係者は、上記のルールを自身も意識しながら
生息状況調査や環境作りなど保護の取組を実施しているほか、
工事等事業実施時の配慮事項として取り組んでいます。
ルールをみんなで守りシマフクロウが安心して暮らせる環境が守られるよう、
皆様のご理解とご協力をよろしくお願いします。

フクロウの羽イラスト

このルールに違反した情報を見聞きした場合は、
環境省までお知らせいただくようお願いいたします。

連絡先

環境省北海道地方環境事務所野生生物課
TEL.011-299-1954
hokkaido-yasei@env.go.jp
環境省釧路自然環境事務所野生生物課
TEL.0154-32-7500
kushiro_yasei@env.go.jp

※土地所有者の了解を得ずに、立入禁止区域や私有地へ立ち入ることはやめてください。

職員や監視員への
ご協力をお願いします
国立公園、鳥獣保護区及び国有林では、希少な野生生物の保護や自然環境の保全を進めるため、環境省や林野庁の職員や委嘱を受けた監視員による巡視が行われています。現場でこれらの職員や監視員から指示や指導を受けた場合には従っていただけますようお願いいたします。
シマフクロウが見られる動物園
現在、保護増殖事業の一環として、様々な動物園がシマフクロウを飼育しています。繁殖が成功したときにはヒナも見ることができます。シマフクロウを見たい方は動物園へぜひ足をお運びください。
シマフクロウがいる動物園

令和6年度シマフクロウ保護増殖検討会